「懐かしいなぁ」という声が10年後に聞こえてくるかもしれない
細かいところでは、スマホやUSBメモリを接続、充電できる車体側のソケットもどうなるか。現在、USB-AからUSB-Cに置き換わり始めているが、将来的にはブルトゥースなどによる通信が当たり前になり、そうしたソケットは運転席まわりのデザイン性、コストダウンもあって、不必要になるかも知れない。
過去から現在において、クルマの運転に不可欠な鏡面式のルームミラーも、クルマのデジタル化時代にはなくなっているだろう。すでにデジタルインナーミラー装着車も少なくなく、遠近感などの違和感こそあるものの、SUVやミニバンではラゲッジルームに背の高い荷物を積んで後方視界を遮ったとしても、リヤエンドに装着されたカメラの画像によって視界が確保され、モニター位置の自由があるといったメリットがあるからだ(録画も可能だ)。
ナビゲーションは微妙だ。今ではディスプレーオーディオが台頭し、手持ちのスマホと接続して、最新データのマップでルート案内を行うケースも増えている。ただし、純正ナビでも車載通信器(SIM)の搭載が当たり前になっていて常時更新ができるわけで、オプションとしては残る可能性がある。自動運転には不可欠であり、それに必要な、GPS、天頂衛星受信+高精度3Dマップが標準となってくるはずである。ナビの有料マップ更新手続きなど、過去のことになるだろう(今でもそうした純正ナビは多い)。
そしてエンジンを積まないとすれば(BEVの場合)、ボンネットを開けての目視、あるいはエンジンオイルなどの点検も不要になる。パワーユニットの点検は、コネクターを接続しての電気的な点検になったりするだろう。それすら、遠隔で行えるようになるかもしれない。ユーザー自身で行う始業点検など、もはや過去の話である。
ワイパーはどうか。モーターで駆動する、けっこうアナログなままの装備だが、もしかすると高圧エアーで水滴や雪を吹き飛ばす技術がかなっているかも知れない。あるいはウインドウガラスそのものの進化……。
果たして、10年後のクルマはどんな形で、どんな機能を備え、どう運転させてくれるのか? 進化はスピード感に溢れているから、今では想像もできないパーソナルな移動手段としての技術が盛り込まれたモビリティの姿を現してくれるはずである。個人的には、BEV、PHEVの充電が、走行中、あるいは駐車中に、充電設備から充電コードを車体につなぐことなしに、スマホのQiのようにワイヤレスで行えることが、BEVを一気に普及させるための、将来の大きな期待である。