この記事をまとめると
■「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」は自らの手で走らせる歓びが中心にあるADASだ
■運転者の状態異常を検知すると運転者と同乗者にお知らせをしつつ運転支援を作動させる
■2022年にはMAZDA CO-PILOT 1.0を発売し、2025年には2.0へと進化させる予定だ
万が一の時が心配なら「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」
クルマを操縦することそのものが大好きなので、僕はADAS(先進運転支援システム)が備わってるクルマでも、じつはあまり使わない。もちろん仕事の試乗のときには試すし、できのいいアダプティブクルーズコントロールには高速道路の渋滞でお世話になることがあるけれど、基本はやっぱり自分でステアリングをまわし、ペダルを踏んで走りたいのだ。そのほうが楽しいから。
でも、もし自分が”楽しい”とか”気持ちいい”とか感じる余地などなく、ステアリング操作もペダル操作もできない状態に陥ったら……? いや、まったくないとはいえないだろう。自分は健康だと思っていてもいきなり意識を失ったりする可能性はゼロではないし、前の晩にたっぷり休んだつもりなのに居眠りしちゃうという可能性だってゼロではない。
そうしたドライバーが操縦不能になったときに事故を抑制してくれるADASがあるとしたら、どうだろう? 発作などの疾患に起因する事故は、近いところで2017年に268件、2018年に269件発生したというデータがある。78%のドライバーが運転中に眠気を感じたことがあるというデータもある。
MAZDA CO-PILOT CONCEPT(マツダ・コパイロット・コンセプト)は、まさしくそうした現実を見つめて開発されているADASだ。ハンズオフやアイズオフを可能にするための技術の数々を、ドライバーの疲労軽減というよりも、積極的に事故回避につなげていこうというシステムなのだ。
クルマを自分の手で運転することで元気になって、活き活きとした生活を送ってもらいたい、というのがマツダの基本的な考え方。つまり”走る歓び”が中心にある。そしてドライバーに何かあった場合に、システムが代わりを務めて可能な限りの安全を確保する。だからシステムの名前がコパイロット(=副操縦士)なのだ。とてもマツダらしいな、と思う。
この仕組みは、クルマがドライバーの体調の急変や居眠りなどの異常を検知すると、まずドライバー本人や同乗者に警告/お知らせをしつつ運転支援を作動させ、ドライバーが運転できないと判断した場合には、ホーンやハザードランプなどで周囲に注意喚起しつつクルマをすみやかに停止させて安全を確保し、緊急通報をするという流れ。
2022年に導入される予定のMAZDA CO-PILOT 1.0では、ドライバーと同乗者に知らせる方法は警告音やモニターへの表示にて、そして高速道路では路肩へ退避して停止、一般道では走っている車線内で徐々に速度を落として停止する。
2025年からのMAZDA CO-PILOT 2.0では、異常の検知だけじゃなく異常の予兆まで検知し、ドライバーと同乗者へ知らせる方法に音声案内が加わるほか、高速道路でも一般道でも非常停止帯に退避して停止するという機能が加わることになる予定だ。
ドライバーの異常検知については、頭の位置や角度といった姿勢、姿勢が崩れることによってステアリングが非保持になるなどの運転操作、それにまぶたが開いてるかどうかの閉眼状態を判断のパラメータにする。
それをさらに進めた異常余地検知については、頭部の動きがクルマの動きに対して上下や傾きなど不自然な向きだったり異常な振動パターンに変化してたりしないか、ステアリングやペダルの操作量が道路環境や他の車両などに対して乖離していないか、見る部分が特定の箇所に偏るなど視線の動きがおかしくなっていないかなど、大脳の機能低下でおきる意識的な行動の変化、脳幹の機能低下で起きる無意識的な反応の変化といったところまで踏み込んで行われる。