ステランティスは最多となる14ブランドを抱えている
そのまま欧州に目を向ければ、巨大な自動車メーカーとしてまず思い浮かべるのはフォルクスワーゲン・グループだろう。資本関係は複雑なので整理は難しい部分もあるが、同グループ傘下のブランドを並べると、フォルクスワーゲン/シュコダ/セアト/クプラ/アウディ/ランボルギーニ/ベントレー/ポルシェと錚々たるブランドが並ぶ。そして二輪メーカーのドゥカティもフォルクスワーゲン・グループに属している。
グループのリソースを最大限に活かしたラインアップとしつつ、各ブランドの価値を毀損しないマーケティングをしているのが、このグループの特徴。たとえば、フォルクスワーゲン・トゥアレグ、アウディQ7、ポルシェ・カイエン、ベントレー・ベンテイガは同じプラットフォームで、同じスロバキアの工場で生産されているが、それらを兄弟車と認識しているユーザーはそれほどいないだろう。明確にブランド価値をわけることで、しっかりとした成長戦略を掲げているのが、フォルクスワーゲン・グループなのだ。
そして、現時点でおそらく最多ブランドを抱えているのが2021年1月に誕生したステランティスだ。ご存知のように、ステランティスはFCA(フィアットクライスラー)とPSA(プジョーシトロエン)が合併して生まれている。
つまり、それぞれの企業が擁していたブランドがひとつにまとまっているということで、その数なんと14ブランドにもなる。
アルファベット順に並べると、アバルト/アルファロメオ/クライスラー/シトロエン/ダッジ/DS/フィアット/ジープ/ランチア/マセラティ/オペル/プジョー/ラム/ボクスホール。一気に紹介すると息が切れそうになるが、それにしても多彩なブランドが集まっているのは、ある意味壮観だ。
ルーツごとに整理すると、フィアット系ブランドといえるのがアバルト/アルファロメオ/フィアット/ランチア/マセラティ、クライスラー系がクライスラー/ダッジ/ジープ/ラム。それ以外はPSA由来と捉えていいが、オペルおよびボクスホールは過去にはGMの傘下だったこともあるブランドだ。
ちなみに、スーパーカーの象徴ともいえるブランド「フェラーリ」は、かつてフィアット傘下だった時期もあるが、現在は一応独立した企業ということになっているので、ステランティス傘下には含まれない。