現実と変わらないとも言われるイマドキのレースゲーム! それでもレーシングドライバーが感じる「ゲームの限界」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■SIMゲームがどこまで実車に迫っているかをレーシングドライバー中谷明彦さんが解説

■「グランツーリスモ」では細かい設定が可能でほとんど現実に近い状況を再現できる

■「F1」シリーズは年間シリーズが戦え、また1レースに特化したレースチャレンジも可能

もはやグラフィックはリアルかCGかを区別できないレベル

 ドライビングシミュレータとも言えるような高度なSIMゲームがeスポーツとして確立されている。グランツーリスモに代表されるような高度なソフトが人気を博し、FIA(国際自動車連盟)も承認するなど、ゲームとは言えないほどレベルが向上しているのだ。

 こうしたSIMゲームがどこまで実車に近い動きを再現できているのか。プロのレーシングドライバー目線で解説しよう。

 SIMゲームのソフトにはさまざまな種類が登場している。前述のグランツーリスモは、国産〜外車、旧車からF1マシンまでダウンロードでドライブでき、富士スピードウェイや鈴鹿サーキット、筑波サーキットなど国内のメジャーコースに加え、ル・マンのサルトサーキットやニュルブルクリンク北オールドコースなどが収録されている。また、実際には存在していない架空のコースを創造し展開しているのも特徴だ。

 リアルサーキット収録に当たっては実際にサーキットを訪れ、コーナーのR(半径)はもちろん路面のアンジュレーションやカント(斜度)などを細かく計測しデータ化している。周辺の風景も現実そのままに再現。そのため信頼度が高く再現性に優れているのだ。

 近年は自動車メーカーがメディアの取材に貸し出す広報車両でのサーキット全開アタックを制限していることが多く、僕自身グランツーリスモ上で最新モデルのサーキット走行フィールを確認することもある。グランツーリスモでは車両データを自動車メーカーと緊密に連携して作り込んでいるので、コースだけでなく車両の再現性も高いのだ。

 グラフィックも綺麗でキャプチャー画面では本物かグランツーリスモか判別するのも難しいレベル。

 グランツーリスモで惜しいのは、レース形式プログラムが現実と大きく異なる点だ。インストールされているレースプログラムでは予選がなく、いきなりレースが始まる。カテゴリーや年代の異なる車両が混在して走るケースが多く、「おいおい、お前そんな速いマシンじゃなかっただろ」と思わず笑ってしまうことも。

 ただ、オンラインでレース構築する際には、車両やチューニング、タイヤ摩耗、ダメージなど細かく設定することで、ほとんど現実に近い状況を再現できるのだ。オンラインの場合は通信状況でタイムラグが発生してしまうことがあるのは今後5Gの拡がりなどで改善されて行くのだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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