レースに出たりもした意外とポテンシャルの高いカローラたち
ということで、ちょっと調べただけでもカローラと名の付くクルマはあるわあるわで、いちいち説明していたらキリがない。ということでここでは敢えて“忘却の彼方系のカローラ”を3台ピックアップしてみたい。
1)カローラセレス
まずはカローラセレスである。もうすでに名前を聞いただけで形を想像するのが難しいという方も多いと思われるが、姉妹車は藤井フミヤ効果もあってか結構街でも見かけたスプリンターマリノである。簡単に言ってしまえば今や噴飯モノの車名の代名詞的存在のカリーナEDのスケールダウン版で、カリーナEDの申し分程度のリヤシートも見事にスケールダウンされ、正直に言ってしまえば、なぜリヤにドアがあるのか不思議なくらい後席が狭かった。知り合いがマリノに乗っていたので実体験だが、170cm以上の人にはちょっと無理な空間だった。
2+2だったら2ドアでも良かったのでは、などと思ってしまうが、まあ当時は景気も良くて“とりあえず作ってみよう”がオッケーな時代だったのか。そういえばJTCCにも一瞬だが出ていて、しっかり結果を残していたなら見方も変わったところだが、結果もそれなりだったので、やっぱり忘却の彼方系に分類せざるを得ないかも。オーナーさんゴメンナサイ。簡単に言えば運転席と助手席が特等席だったカローラNo.1ってことかと。
2)カローラ ルミオン
続いては「ゴツンとルミオン」のキャッチコピーだけは鮮明に記憶に残るカローラルミオンである。というか、ルミオンの名のほうがひとり歩きしていて、正式名称がカローラルミオンだったことが忘却の彼方系である。今思えば、そもそもカローラを名乗らなくても良かったのではというのが一番の感想。
もともとはちょっとエッジなトヨタブランドとして、北米で展開されていたサイオン・ブランドの看板車種であった2代目xBを日本仕様にアレンジしたもので、当時はUSDMブームもあったのでそのままサイオンxBとして売った方が普通に若者にブレークしたのではないかという声も多々耳にした気がする。
ちなみに初代サイオンxBは日本で言うところの初代bBで、カローラルミオンは本来ならばその後継車にあたるはずだが、ちょっとデカくなりすぎたので日本では2代目bBとしては売られなかったという経緯がある。
そして2016年にはサイオン・ブランド自体も消滅するなど、今となってはそのアイデンティティすら辿ることが難しい、時代に翻弄されたカローラNo.1かもしれない。
3)カローラランクス
「名前にRUNのあるクルマ」のキャッチコピー、キムタクの「見ぃーっけた」のセリフのインパクトが強烈だったCMの割に、クルマ自体の姿カタチを思い出すのがなかなか困難なのがカローラRUNX(ランクス)である。ポジションとしてはカローラFXやカローラIIなど、一連のハッチバック系カローラの統合的後継機種ということになる。
ちなみに兄弟車はアレックスだが、グリルの違いなどほとんど間違い探しレベルで、バッジエンジニアリングの極みのようなモデルだった。現実的な後継車種にあたるのはオーリスということになるが、カローラを名乗るハッチバックとしては、2018年にカローラスポーツが登場するまでじつに12年ものブランクがある。
カローラスポーツのリリース時に、「カローラRUNX以来、カローラのハッチバックが12年ぶり復活!」と聞いてもあまり胸躍らなかったが、じつはものすごーく地味ながら、1.8リッターDOHCの2ZZ-GEを6速MTで操れるグレードもあるなど、隠れホットハッチ10選(という企画があればだが)には選出したい1台でもある。
※写真はセリカの2ZZエンジン