補機用バッテリーは従来型と同じに見えても構造は異なる
ハイブリッドカーに搭載されるシステム起動用の12Vバッテリーは補機用バッテリーと呼ばれ、トランクルーム内や後部座席下に搭載される例が多い。もっとも、従来型の鉛/希硫酸方式であるため、充電時に水素ガスを排出する。ハイブリッドカーでは、この水素ガスを車外に排出するため、従来型バッテリーとは異なる構造で、大半が制御弁方式のVRLA型を採用している。電圧、電流容量が同じだからと、従来型バッテリーを搭載するのは危険が伴い大きな間違いである。従来型と互換性はないと考えてよいバッテリーだ。
一般に、この補機用バッテリーの寿命は3〜5年と言われているため、定期点検の際に容量をチェックしておくとよいだろう。低下傾向が見られたら即座に交換しておくことをおすすめしたい。通常のガソリン車でもバッテリーを上げてしまうと手間はかかるが、ハイブリッドカーの場合、システムが起動しないとパーキングポジションを解除することもできなくなるため、非常にやっかいな事態となってしまう。
また、大容量のバッテリーを取り扱うため、ハイブリッドカーの整備には資格が必要となる。もっとも、国家試験といったものではなく、低圧電気取扱特別教育と呼ばれる講習会を受講し、修了試験に合格すれば取得できる資格である。ちなみにハイブリッドカーは、労働安全衛生規則第36条に定められた低圧(直流750V以下、交流600V以下)の充電電路(対地電圧50V以下及び感電による危害を生じるおそれのないものを除く)の敷設、修理の業務等、に該当している。
現在のように、ハイブリッドカーが多く普及した状態になると、低圧電気の取り扱い資格がないと、自動車整備士として業務に携わることが困難になってしまう。構造はわかっているからとハイブリッドカーの整備を自分の手で行おうとするのは危険行為。自分で整備を行いたいのであれば、低圧電気取扱特別教育を受講し、修了試験に合格してからにしよう。