この記事をまとめると
■1987年にスズキ・アルトワークスが軽自動車として初めて64馬力を実現した
■軽自動車の最高出力が64馬力になって以来いまもメーカーは自主規制している
■軽自動車には最高出力よりも実用性の高いエンジンが求められている
高出力を追い求めることへの懸念から自主規制できた
軽自動車のエンジンの最高出力は、64馬力までという自主規制が続いている。
ことのはじまりは、1987年に売り出されたスズキのアルト・ワークスが、ガソリンターボエンジンで64馬力を達成し、それをきっかけに高出力化がさらに進むことへの懸念からメーカー間の自主規制値となった。当時の軽自動車のエンジン排気量は550ccだったので、64馬力はとてつもない高性能だった。
現在、軽自動車のエンジン排気量は660ccまでと、アルト・ワークスが64馬力を達成したときにくらべ110cc増え、より高出力化しやすい状況といえる。しかし、ことに自然吸気エンジン車では、50数馬力といったところに落ち着いている。ターボエンジンになると64馬力の車種がある。
そもそも、排気量1000cc(1リッター)あたり100馬力を出す(通称リッター100馬力)のは、かなり技術水準の高い挑戦だ。1989年に、ホンダがVTEC(可変バルブタイミング・リフト)機構を使い、自然吸気のガソリンエンジンでリッター100馬力を実現するまで、ターボチャージャーなどの過給を使わずそこまでの高出力を出すのは夢に近かった。