この記事をまとめると
■2003年のジュネーブショーでポルシェから出たスペシャルモデルがカレラGTだった
■ミッドに搭載される5.5リッターV10の最高出力は612馬力
■通常時のハンドリングは素直だが、限界まで攻めるとアンダーステアが強い
スーパースポーツ誕生ラッシュの2003年にデビューしたカレラGT
ポルシェから、「カレラGT」とネーミングされたスペシャルモデルが発表されたのは2003年のジュネーブショーでのことだった。この年の同ショーは、まさにスーパースポーツのデビューラッシュともいえるショーで、フェラーリからは360モデナがベースの「チャレンジ・ストラダーレ」が、またランボルギーニからはあの「ガヤルド」が発表されるなど、じつに華やかなショーであったことをいまでも鮮明に覚えている。
カレラGTは、そのスタディモデル(プロトタイプ)が2年前の同ショーで出品されており、ポルシェが将来生産化の可能性のないスタディを生産しない例が、それまでもほとんどであったことを考えれば、現実的なもっとも大きな興味は、それがいつ発表されるのかにあった。
実際にジュネーブで初対面したカレラGTは、想像していたとおり、やはりとても魅力的なスーパースポーツと感じられた。当時ポルシェは伝統の911シリーズのほかに、ボクスター、そしてカイエンの両シリーズを生産していたが、カレラGTは、それらとは完全に別の次元にあるモデルであることは、メカニズムの構成からも容易に想像することができた。
スタイリングは、スタディモデルのそれから大きく変わることはなく、フロントウインドウの傾斜角や灯火類のデザインなど、必要最小限の変更にとどまっていた。21世紀に誕生したスーパースポーツとしての先進性を、卓越したエアロダイナミクスで主張すると同時に、過去のコンペティションモデルにモチーフを得たとも考えられるディテールを採り入れた、きわめて魅力的な造形がそこにはあった。
ポルシェ自身もまた、そのデザインモチーフを、あの917に得たとコメントしたように、いかにも趣味性の高いフィニッシュ。ボリューム感に溢れるフロントフェンダーなどは、718RSKのそれにも似ると当時は意識させられたものだった。