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やっぱりいまのクルマは「個性がない」! 唯一無二感たっぷりの愛され国産車4台 (1/2ページ)

やっぱりいまのクルマは「個性がない」! 唯一無二感たっぷりの愛され国産車4台

この記事をまとめると

■今の時代じゃ生まれることのない尖ったクルマを紹介

■尖りすぎた故に後継車種は出てこなかった

■攻めた内容ではあった、時代を作ったクルマとして今後も語り継がれるだろう

チャレンジ精神が生んだとびっきりの名車をプレイバック!

 クルマは年々進化している。故障は少なくなっているし、衝突被害軽減ブレーキなど先進安全性能もどんどん向上している。環境性能についても同様で、今どきのガソリン車はひと昔前のハイブリッドに匹敵するほどの燃費性能を実現していたりする。価格が上昇傾向にあるのは閉口するかもしれないが、最新が最良というのがクルマの基本的な進化の理解といえるだろう。

 とはいえ、最良に近づくほど失われてしまう魅力もある。電子制御がほとんどなかった時代のスポーツカーが持っていたスリリングな魅力、燃費なにそれおいしいのという時代が生んだ大食いのハイパワーユニット、そして定番が確立していなかった時代だから生まれたチャレンジングなパッケージング……。そうした現代ではあり得ない、独特のメカニズム的魅力を持つ1990年代のモデルを振り返ってみたい。

1)ホンダS2000

 かつてF1マシンのエキゾーストノート(排気音)はミュージックと表現されていた時代があった。多気筒・自然吸気がレギュレーションで定められていた1990年代には各社が10~12気筒エンジンを開発、ストレートで奏でる高周波サウンドは、まさに音楽というべき酔いしれるものだった。現代のF1はターボとハイブリッドを組みわせたことで速さという点では、その時代のF1マシンを上まわるが音質については、1990年代がベストという声は少なくない。

 同じことは量産スポーツカーにおいても言える。たしかにパワフルだが、ターボチャージャーで過給したことでパワーを得ているモデルが多く、かつてのように高回転までカーンと回して楽しめるユニットは激減している。スーパースポーツであればランボルギーニの最後のV12という選択もありかもしれないが、一般庶民に手が届くスポーツカーで高回転が楽しめるエンジンは、まず見当たらない。

 その意味では1999年に誕生したホンダS2000というのは奇跡の名車であり、奇跡のエンジンを積んでいた。前期型(AP1)に搭載された「F20C」型はVTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を備えた直列4気筒エンジン。ボア×ストロークは87.0mm×84.0mmで総排気量は1997cc、最高出力250馬力を8300rpmで発生するというだけでも十分に高回転仕様といえた。

 5850rpmでハイカムに切り替わると、最大許容回転9000rpmまで一気に回る様は「エンジンのホンダ」と呼ぶのにふさわしい出来。9000rpm時のピストンスピードは25.2m/秒となり、これは当時のF1エンジン並みといわれたものだ。

 結果的に、このF20Cエンジンは前期型S2000だけにしか積まれなかった。ほかのモデルに横展開が難しいほどのスポーツカー専用エンジンだったのだ。

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