この記事をまとめると
■CVTは革新的なトランスミッションとして注目を浴びた時期があった
■通常のAT方式の多段化と変速制御の高度化によりCVTの存在意義は失われた
■パワープラントの電気モーター化でATはトルクコンバーター+ギヤ式が主流となりそうだ
CVTはスバルが実用化して世界で初めて市販車に搭載した
クルマの変速機構を大別すると、MT(マニュアル・トランスミッション)かAT(オートマチック・トランスミッション)ということになる。内燃機関にとって必要不可欠な変速操作を、ドライバーが手動で行うか、機械が自動的に行うか、という違いである。
このうちATは、歴史的にトルンコンバーター+ギヤ式トランスミッションによる方式が王道を歩んできたが、これ以外の自動変速機も存在した。
なかでもCVT(コンティニュアスリー・バリアブル・トランスミッション=連続可変トランスミッション)は、革新的な方式として注目を浴びる時期があった。1970年代にオランダのファンドーネ社が開発したスチールベルト式CVTが実用化され、富士重工(現スバル)が改良を加えて1984年にジャスティに搭載して市販。
動力伝達で使うプーリー径を連続的に変化させることで、変速比は低速側(ローギアード)から高速側(ハイギアード)まで無段階で変化する方式だ。
このためシフトショックがなく、エンジン側から見れば、回転数を機関効率最大のところで固定し、車速上昇に応じたプーリー比変化(ハイギヤード方向)が行えるため、燃費性能に優れるという特徴を身上としたが、この特性がエンジン回転感と車速が一致しないという違和感を生み出し、CVT拒絶派を生み出す要因にもなっていた。
無段変速が大きなメリットであるCVTに、あえて固定ポイントを設けて○速CVTといったシステムが商品化されたのも、こうした事情に対処するためである。