最新の300系ランクルじゃダメなワケがある! 80年代に登場した「70系ランクル」がいまだ現役な理由 (2/2ページ)

排ガス規制で幕を閉じたが10年後に期間限定で復活する

 そして2004年。ディーゼルエンジンの排出ガス規制にパスできなくなったことを理由に、70系は一度日本市場から姿を消す。すでにSUVシーンでは、同じトヨタのRAV4やハリアーが先鞭をつけた、乗用車のメカニズムを用いたデザイン重視の車種が主流となりつつあり、悪路走破性は電子制御で対処していた。その後もテレビで新興国の映像が流れると、かなりの確率で70系の姿を目にすることができて、元気でやっていることが確認できたけれど、先進国のSUVマーケットに居場所はないと思うようになった。

 そんな自分の考えが間違いであることを教えてくれたのが2014年、期間限定で復活した日本仕様に乗ったときだった。頑丈なラダーフレーム、前後リジッドのサスペンション、粘り強さを重視したエンジン、装飾とは無縁のボディやインテリアは、道なき道を走り続け、生きて帰ってくるために最良のスペックであることに気づいたのだ。

 具体的に言えば、室内灯が白熱電球だったり、エアコンのスイッチがレバー式だったりするのは、新興国での調達や修理のしやすさを考えたものだろう。

 いまや日本の道はほとんど舗装されているが、アフリカなどではまだダートが多い。それにオフロードは大地そのものだから、ここ30年ぐらいで環境が大きく変わったりしていないはず。そんなステージで地上最強のモビリティツールとして認められてきたクルマを、変える必要などないという結論に達したのである。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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