チューニングカーブームにより雰囲気が激変!
その後、SEMAのSが、大排気量大トルクによる「スピード」を追い求めることからさまざまな領域への広がりを求めて「スペシャリティ」に変わり、また製造業「マニュファクチャリング」のみならずさまざまな業態を含めるために「マーケット」に転じた。
こうして現在のSEMAとなり、毎年11月ラスベガスのコンベンションセンターで行われる世界最大級規模の見本市が、SEMAショーである。
要するに、SEMAショーは業者向けの見本市というのが大前提だ。ここに一般ユーザーも受け入れている、という建付けになっている。
筆者は、いまから30年ほど前の80年代からSEMAショー現地に訪れているのだが、90年代半ばくらいまでは、ビッグブロック(大排気量のV8エンジン)関連や、カーオーディオ、そしてピックアップトラック向けの各種パーツなどが主要だった。
自動車メーカーも、GMやフォードが純正パーツ販売のプロモーションに使ってはいたが、いわゆるモーターショーのような雰囲気ではなかった。
そうしたSEMAショーの雰囲気が、90年代後半から2000年代初頭に大きく変わった。きっかけは、米西海岸を発信源とした日系チューニングカーブームだ。
ホンダや日産が相次いでブースを拡張し、トヨタは北米向けブランド・サイオン拡販プロジェクトをSEMAショーに送り出した。
また、GM、フォード、(当時の)クライスラーがハイパフォーマンス系上級モデルと正規のチューニングパーツを一気に導入し、そのお披露目でSEMAショーを最大限に活用した。
そして現在のSEMAショーの主役は、オーバーランドだ。
オフロードやアウトドアを極めるようなカスタマイズが世界的に流行しており、アメリカ発のさまざまなコンセプトモデルやアイテムのワールドプレミアで、SEMAショーへの注目が再び高まっている。
2020年はコロナ禍でバーチャルのみでの開催だったが、2021年はリアルSEMAショーとなり、11月のラスベガスに活気が戻ってきた。