売れないと委託料を延々と支払うことになってしまう
でも今回のシステムは、あらかじめ私が「最低でもこれくらいは欲しい」という金額を業者に伝え、それを踏まえて業者が自らの利益を考慮した価格設定をして店頭に並べてくれるというもの。これなら、委託者は販売期間が長くなっても、当初の心づもりとそれほど変わらない金額を受け取れることになるので、安心ですね。
ただ、ここでちょっと賭けのようになってくるのが、展示・保管料がどれくらいかかるかというところです。今回は、最初の3カ月は無料、その後は1カ月5000円の展示・保管料がかかってくるというシステム。3カ月以内に売れればいいですが、それより長くなると1カ月ごとに5000円ずつ、手取りの金額から引かれていくわけなので、これはもう「早く売れてくれ」と祈るしかないですね。
なので、業者の方でも自社のホームページに掲載したり、メルマガなどで「こんな個体が入荷しました」と顧客にアピールしてくれるのですが、なにぶんマニアックな人向けのクルマだということで、私自身も知人などを介して「こんなクルマあるんだけど、誰か欲しい人いない?」などと積極的に買い手を探すようにしていました。せっかくなら、ちゃんとこれからも大切に乗ってくれる人に売れて欲しいですからね。
そして、最初の1カ月が経過。まだ売れたという連絡はなかったので、どんな感触なのか、こちらから電話してみました。すると価格設定が相場よりお得だったので、問い合わせは多く、その中で「4人が店舗まで見に来た」とのこと。まだ購入するまでには至らなかったようですが、引きはあるようで嬉しくなりました。
ここで注意点は、販売価格から手数料などを差し引いた額が委託者に支払われる約束になっている場合は、業者から頻繁に「値下げしてもいいか」という連絡がくることがあるということ。そのやり取りが煩わしいのなら、最初に受け取りたい最低金額の設定をしておくほうが、値下げなどは業者が自らの判断でやってくれますので、面倒は少なくて良いのではと感じました。
さて、展示・保管料の無料期間が終わる3カ月が経過しましたが、いまだ問い合わせはあるものの売却には至らず。今回の業者はとても良心的で、そこで一度連絡をくれて、「クルマを店舗から引き上げて写真だけで委託販売を続けることもできますよ」と提案してくれました。もし自宅に駐車スペースが余っている場合は、引き上げてくれば展示・保管料はかからないということですね。
ただ我が家の場合は新たに駐車場を借りなければならないので、そのまま展示・保管料を支払って置いてもらうことにしました。また、かなり稀なケースですが、最初から写真の掲載だけで委託販売を引き受けてくれる業者もいるようです。その場合は売れるまではクルマに乗り続けることができますが、走行距離があまりにも延びたり、事故を起こしてしまうリスクもあるのが難点ですね。
ということで、そこから6カ月が経過。ようやく買い手が見つかり、ほっとひと安心。車検が切れている個体だったので、購入者には「ご希望でしたらプラス料金で車検を取ってから納車することも可能です」とご案内してくれたとのこと。ほかの委託販売業者の中には、売り手と買い手の仲介をするのみで、クルマを引き渡す際には点検整備もせず完全に現状渡しとしているところもあるようなので、そこも要注意ポイントです。
そんなわけで現在、買い手の方の書類が揃うのを待ち、納車準備をしているところのようです。じつは今回、私が最初に設定した最低金額は0円。とても愛着のあるクルマだったので、どうしても廃車にするのがしのびなく、0円でもいいから次に乗ってくださる人を見つけてください、と伝えてありました。だからなのか、本来は展示・保管料は3カ月分の1万5000円を支払うことになるのですが、ご厚意でそれはオマケしてくださいました。
こうして委託販売を実際に体験してみると、今回まったくデメリットがなかったのは、ひとえに良心的な業者だったから。これに尽きると感じています。システムも何も知らず、下調べもせずに適当に委託販売業者を選ぶのはちょっとリスクが高いと思います。
もし、どうしても初めてのところに預けたいという場合は、価格設定がどんな取り決めなのか、展示・保管料はどれくらいなのか。途中で引き取ることや、委託販売を中止したい時にはどうなるのか。買い手が見つかった時に整備や車検は行なってくれるのか。そのほか、手数料などがかかるものはないか。以上のポイントだけはしっかり確認し、納得してから利用するようにして欲しいと思います。