安心なクルマ社会の実現にはタイヤの進化が欠かせない
一方、既存のランフラットタイヤは、タイヤ側面のゴムを厚くして、万一空気が漏れ、内圧が下がっても、厚みを持たせたゴムで車両重量を支え、走行性能を維持するような構造としている。これにより、パンクしても気付かないほどの操縦性が確保できるのだが、一方で、ゴムの厚みが増せば硬くなり、乗り心地のしなやかさを出しにくいといった弱点があった。
しかし、タイヤそのものの改良に加え、ランフラットタイヤに適合したサスペンション調整をすることで、乗り心地とパンクへの対処を両立させることも行われてきている。
それでも、スポーツカーなどでは操縦性とランフラットタイヤの相性を極めるのが難しく、BMWでもMと呼ばれるスポーティ仕様では通常のタイヤが標準装備されてきた。
とはいえ、それは特殊な状況であり、ごく一般的な乗用車であれば、ランフラットタイヤであるほうが万一のパンクに対処しやすく、より安全で、安心して運転したり移動したりすることができる。
これから高齢化社会を日本だけでなく世界的にも迎えるようになる。また、障害者の社会進出も健常者と変わらぬ暮らしぶりとして奨励されていくことになるはずで、そこにクルマでの移動は、より重要性を帯びてくる。
自動運転の時代を待つ前でも、老若男女が安全で安心してクルマを頼れる社会にするためには、ランフラットタイヤやエアレスタイヤの進化と普及は欠かせないと思う。