たった1台のクルマが世界の自動車の流れを一変! 平成以降のエポックメイキングなクルマたち (2/2ページ)

テスラ・モデルSは現在のEVのベンチマーク

 外国車ではまず、テスラ・モデルSを挙げたい。プラットフォーム全体にバッテリーを薄く敷き詰め、前後にモーターを置くという斬新なレイアウトは、その後、老舗ブランドが手がけたEV専用プラットフォームの多くに反映されているからだ。安全性に関する考え方、創業者イーロン・マスクの言動などには賛否両論があるが、今のEVのベンチマークと言って差し支えない。

 ミニも取り上げておきたい。横置きエンジン前輪駆動の2ボックスという、現在のコンパクトカーの定型を確立したクラシック・ミニももちろん偉大だけれど、そのデザインを巧みにモダナイズし、スポーティなプレミアムコンパクトとして生まれ変わらせたBMWのプロデュース力もたいしたものだ。

 もちろんそれ以前から、日産Be-1などレトロデザインの車種はいくつかあったが、ここまでストレートにセルフカバーしたのは例がなかった。同様の手法では最近でもランボルギーニ・カウンタックが出ているし、次期日産フェアレディZもこの路線と言える。

 個人的には未来の移動の楽しさを予感させてくれるようなデザインにも興味はあるけれど、電動キックボードなどに比べれば、クルマは長い歴史を持つ乗り物でもあるわけで、その歴史を使って魅力を発信するというのは理解できるものだ。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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