新車の納車遅延がレンタカー業界にも直撃
実際、いくつかの中古車展示場をまわったが、平時に比べると展示車両が少なめで閑散としているところも目立っていた。新車の納車が進まないと下取り車が中古車市場に放出されないこともあり、いま高年式で程度の良いクルマに乗っていれば、買い取り専業店などへ買い取りに出すと、程度の良い車両ほど平時よりは確実に高値で処分できるとのことである。このため、中古車専業店が自分のところで展示している中古車をオークションに出品して売りさばくこともあるとのことだ。
ただし、登録から5年以上経過した中古車は在庫不足ということでもないようなので、新規登録から5年以内ぐらいの車両に人気が集中しているようである。
さらに意外だったのがレンタカー業界。そもそも新型コロナウイルス感染拡大による行動自粛要請が全面解除となってから、出張などの業務やレジャーでレンタカーの需要が増していたのだが、今回のサプライチェーンの混乱がさらに状況を悪化させているとのことである。
ある新車販売セールススタッフによると、「車両保険に入っていて事故により全損した場合、1カ月間保険会社で代車(レンタカー)を手配してもらえる特約があります。しかし、いまは深刻な新車の納期遅延だけでなく、中古車も良質なものほど不足しています。そのため、特例措置ではないですが、代車を1カ月以上乗る人も多いようで、事故代車として貸し出したレンタカーが戻ってこないようです」と話してくれた。
そのため、レンタカーのなかでもよく借りられるクラスでは、車両が足りずに異なるクラスで空いている車両を貸し出すなど、やりくりに苦労しているようである。「予約なしで借りるのは難しいのでは」と前出セールスマンは語ってくれた。
だんだん問題が広範囲に及んでいる。状況改善はますます長期化していきそうである。