レーシングドライバーを感動させた2021年の市販車「走りで選ぶ」5台とは (2/2ページ)

4WD技術も目を見張るものがあった

 この優れた装置を量販モデルであるCクラスで採用したことで、新型Cクラスの走りは高速の正確なライントレース性から低速の小回り性、取り回しの良さで圧倒的な完成度を示し感動的なレベルに仕上げられていた。これらの4WS装備車を走らせると、もはや後輪操舵を持たないモデルでは達せられない領域にハンドリングが高められていることがわかり、4WSは今後必須の装備となっていくことを理解できるだろう。4WSの熟成度の高さで、1)メルセデスCクラス(Sクラス)、2)ランボルギーニ・ウラカンSTO、3)ベントレー・フライングスパー、4)ルノー・メガーヌ4コントロール搭載車を選んだのだ。

 5)は三菱・アウトランダーPHEVだ。4WSこそ装備していないが、S-AWCという三菱独自の4輪制御技術でハンドリングの自由度を引き出している。

 S-AWCはランサー・エボリューションの走りを支えた基幹技術で、主にリヤアクスルのAYCによる後輪左右駆動トルク移動でコントロール性を高めていた。アウトランダーPHEVは前後輪を個別モーターで駆動する電動車であり、後輪モーターに左右輪間のトルク移動装置は備えていないが、内外輪のブレーキを個別に制御することでヨーコントロールを可能としている。従来は前輪のみを作動させていたが、後輪にもブレーキAYCを装備したことで、かつてのランエボAYCに近い走りのDNAを引き出すことに成功している。

 もしアウトランダーPHEVが4WSを装備したら、その走りは無敵化するだろう。そんな進化も期待したいところだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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