内外装のすべてはたったひとりのためにデザインされた
滑らからなファストバックのルーフラインをさらにダイナミックなものとするために、GTC4ルッソのリヤシートは取り外され、さらに全長をオリジナルよりも3インチ伸ばすことで、美しいプロポーションを強調するシルエットとなっている。キャビンはAピラーからリヤスポイラーにかけてふたつのアーチが前後をつなぐようなスタイルになっており、アーチ後方のふくらみは、えぐられて空力的な通り道となり、その出口はリアスポイラーの下へと続く。フェラーリBR20は、「フライングバットレス」(バロック時代の建造物に見られるアーチ状の飛梁)をフェラーリ流にモダンにアレンジしたことで、他のフェラーリのスタイリングの特徴とも強いつながりを感じさせるもとなった。
フロントでは、水平スリットのグリルとヘッドライトはBR20専用エレメントであり、また、20インチのダイヤモンド仕上げのアルミホイールも専用にデザインされたものとなる。リヤにはアンダーボディに可動フラップが設けられたディフューザーを装備する。
インテリアは、濃淡2色のブラウンレザーとカーボンファイバーでトリミングされる。シートは「ヘリタジ・テスタ・ディ・モロ」というダークブラウンのレーザーで覆われ、前面には特別なパターンとシルバーのクロスステッチが施される。
車内空間は、フロントウィンドウから後部ラゲッジ・コンパートメントまで遮るものがなく、非常に明るく軽快な印象となっている。リヤベントとラゲッジデッキには、オークにカーボンファイバー製インサートがあしらわれ、これを折り畳むと奥行きのある荷室とドアハンドルが現れる仕組みになっている。
たったひとりのクラインアントのために製作されたエレガントで個性的な世界に1台のフェラーリBR20。その価格とオーダーしたクライアントの名は明かされていない。