ハリアーとアルファードはウハウハ! 一方カローラ&クラウンは持て余し気味! トヨタの全店全車販売の結末 (2/2ページ)

カローラはいまだカローラ店のイメージが強い

 2021事業年度締め年間販売台数では、ハリアーが前年同期比277.6%、アルファードが157.1%というのに対し、カローラシリーズが98.6%、クラウンは73.6%とやや元気のない様子がうかがえる。カローラシリーズについては、それでも全店併売後はトヨペット店がよく売っているとの話がある。トヨペット店では3代目プリウスオーナーもまだまだ多く、マークXやプレミオといったセダン系ユーザーも多いのだが、全店併売前はお薦めできる乗り換え車種がなく困っていた。そこで、プリウスやマークXなどからの乗り換えの受け皿として、カローラシリーズがちょうど良かったようだ。

 しかし、あまりにも“カローラ=カローラ店”というイメージも強く、トヨタ店やネッツ店では持て余し気味ともなっているようだ。ただ、2021年9月に“カローラクロス”が発売されている。今後はカローラクロスがカローラシリーズの販売中心モデルとなりそうなので、人気のSUVとなればカローラ店以外でも売りやすくなるので、ハリアーやアルファードと同様に盛り上がりを見せるかもしれない(いまは世界的なサプライチェーンの混乱で納車もままならない状況となっている)。

 クラウンについては、カローラ以上に“色”が強くついてしまっているといえるだろう。つまりトヨタ店専売色が強く残っているのである。クラウンはほかのトヨタ車とはあらゆる意味で異質な存在となっている。販売の世界でもお得意様への継続的な乗り換えを勧めながら、お得意様から新規のお客を紹介してもらい販売していくことが多い。高額でステイタスの高いモデルなので、資金洗浄などを防ぐ意味もあるようだ。そのため全店併売後にトヨタ店以外で話を聞くと、「どうやって売っていいのかわからない」とか、「フリーで来店したお客様にホイホイ売れるクルマでもない」とのセールスマンの声も聞かれた。大型高級セダンというカテゴリーはとにかくいまの日本では売りにくいのである。

 話を聞くと、いまでも旧専売店への配車の優先などの“特典”が残っているようである。「大人気のアルファードは、ほかより私どもへの配車が優先されております。リセールバリューの高いモデルなので、初代から販売してきたわれわれには、新車購入時にリセールバリューを高めるノウハウや、下取り査定でも他店(トヨタやカローラ、ネッツ店のこと)よりは“ルート”を持っているので、有利に話を運べるでしょう」とはトヨペット店のセールスマン。

 全店併売スタート直後なので、まだまだ専売車には“元専売臭”が残っており、元専売店も新規参入店よりは若干の“特典”が残っている様子。ただ、そのなかでカローラやクラウンよりは専売臭の弱いハリアーやアルファードは全店併売化の波にうまく乗ったといえる。ノア&ヴォクシーも専売車から全店併売化された人気車なのだが、併売後はアルファードシフトの影響も受け販売台数がパッとしないなか、すでに現行型は事実上の生産終了となっている。

 様子を見ていると、モデルラインアップが多いなかでよく売れているモデルといえば、アルファード、ハリアー、カローラクロス、ヤリスクロス、ヤリスなど、併売化の弊害として売れ筋モデルの急速な集約化がやはり目立ってきている。

 いまは、今後の店舗及び販売会社の統廃合への過渡期といっていい時期。そのため、いまは店舗間で同じクルマについて値引きアップでの潰し合いが顕著なので、トヨタ車を買うなら“買い時”とはいえるが、トヨタが今後販売車種の平準化も含めてどのようなハンドリングで販売現場の再構築を行うのかは、じつに興味深いところである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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