ハリアーとアルファードはウハウハ! 一方カローラ&クラウンは持て余し気味! トヨタの全店全車販売の結末 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタ系正規ディーラーは長らく販売チャネル制度を採用していた

■しかし2020年5月より全店舗での全車種併売を開始した

■この戦略は成功かどうかについて解説する

ハリアーとアルファードは恩恵を受けたといえる

 トヨタ系正規ディーラーは、2020年5月より全店舗での全車種併売(トヨタ車ならなんでも買えるようになった)をスタートさせた。コロナ禍であっても、新車販売全体で見ても販売好調が続いたのだが、そのなかでも“トヨタ一強”と呼ばれるほど、トヨタの新車販売好調の原動力となったのが、この全店併売化といえよう。

 しかし2020年5月前であっても、プリウス、アクア、86など全店舗扱いとなっていた車種も多く、全店併売化ではクラウン(トヨタ店)、ハリアー・アルファード(トヨペット店)、カローラ(カローラ店)、ヤリス・ヴェルファイア(ヴィッツ/ネッツ店)といった専売車種の全店併売化のほうが注目されていた。

 いままで一部店舗での専売車だったものが、全店舗で買えるようになったので、元専売車は飛躍的に販売台数を伸ばしたのではないかと考えられる。しかし、自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による、2020事業年度(2020年4月から2021年3月)締め年間販売台数をみると、統計台数を見る限りでは一概にはそうとはいえそうもない状況となっている。まずは全店併売化の恩恵を受けたと言えるのはハリアーとアルファードになるだろう。

 ハリアーは全店併売化の翌月となる2020年6月に正式発売となっている。同年4月と5月には全国的に1回目の緊急事態宣言が発出されており、5月末の解除直後となる6月から新車販売は急速な回復の波にも乗り、まさにコロナ禍でも売れに売れまくった。ハリアーの元専売店であるトヨペット店が歴代モデルの管理ユーザーを抱えていることもあり、“乗り換え促進”もできるので、販売台数はほかのトヨタ店やカローラ店、ネッツ店に比べれば多いのだが、先代モデルでもレクサス車並みの高級感を持ち、現行モデルではさらに磨きがかかったハリアーは、トヨペット店以外で新規に扱うようになった店舗でも、かねがね「扱いたいなあ」と熱いまなざしが送られていた。それゆえ全店併売化で扱えるようになったトヨペット店以外でも熱心に売るようになり、それが販売台数の引き上げに貢献している。

 アルファードは、元専売店のトヨペット店以外ではそれほど興味が持たれていなかった。それというのも、トヨペット専売時代、とくに現行モデルでは半年も当たり前という納期遅延が深刻となっていたこともあり、「あまり触りたくない」というセールスマンも目立っていた。しかし、コロナ禍直前に生産ラインの増強をはかり(販売現場談)納期が一気に短縮された。メーカーの積極的な量販への意向もあったようだが、コロナ禍にあって納期が短く、しかも総支払い額で600万円ほどの高額車両(しかもローン利用が大半)が、飛ぶように売れだした。海外での中古車人気も高く、リセールバリューが抜群に良く、残価設定ローンを組むと、ノアやヴォクシーの月々の支払い額に数千円足すとアルファードを買うことができることもあり、まさに飛ぶように売れたのである。販売サイドも全店で稼ぎ頭としてアルファードメインの新車販売体制となっていった。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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