パラジウムの高騰が主な理由
そもそも触媒がなぜそれほどまでに高いのかというと、中に使われているパラジウムという貴金属の高騰が主な理由。そのほかにもプラチナも使われているが、こちらも高騰しているとはいえ、パラジウムの比ではない。実際の相場価格を見てみると、1グラムあたり、5年前では2000円ぐらいだったのが、最近は8000円にまで上がっていて、まさに爆騰状態だ。触媒での使用量はサイズによって異なるので一概には言えないが、中古の触媒が20万円から30万円ぐらいで取引されている。
なぜパラジウムが金以上の価格にまで高騰しているかというと、いくつかの理由があって、まずはディーゼル一辺倒で来た欧州がガソリンにシフトしたということがある。そのきっかけはVWのディーゼルでの不正がきっかけとされ、ガソリンエンジン用の触媒にはパラジウムが多く必要なために高騰を招いたとされる。
もちろん希少性もあって、レアアースというと中国が独占というイメージがあるが、パラジウムは南アフリカとロシアの2カ国で産出量の約85%ぐらいを占めていて、もともと偏っていた。最近はアメリカとロシアが対立関係にあり、ロシアがパラジウムの輸出を絞っているのではないかとされ、事実ならばもちろん高騰の一因となる。また南アフリカの鉱山が豪雨で被害を受けたのも高騰に影響があった。
触媒価格の高騰は、当然新車価格にも直結するだけに、今後の推移に注目する必要はある。ただ、今後はEVへのシフトも進むことから、需要が減ることも考えられるが、古めの触媒ですら一気に路上からいなくなるわけではないので、盗難はしばらく問題になりそう。また、バナジウムも含めたあらゆる素材が高騰しているだけに、触媒高騰はまだ続くのは確実だろう。