2000年代にメーカーが発展を模索して生まれた失敗作たち
トヨタの場合、この時期に投入した3列シート車には失敗作が多い。同じ2007年に登場したマークXジオも売れなかった。
「マークX」の車名を冠したこと自体は悪くなかったが、コンセプトがダメだ。3列シートをセットするとミニバン、畳むとワゴン、間仕切りを付けるとセダンという機能を持たせたが、3ナンバー車なのに3列目が極端に狭い。しかも価格が高くサッパリ売れなかった。
日産では2003年に登場したキューブキュービックで失敗している。2代目キューブをベースに開発されたコンパクトミニバンで、全長とホイールベース(前輪と後輪の間隔)を170mm拡大して3列目のシートを装着した。
ただし、キューブのボディをほぼそのまま伸ばしたので、外観が2列シートのキューブに見えてしまう。開発者は「ミニバンに乗っていると周囲から思われたくないお客様もいる。そこで敢えて外観をキューブと差別化しなかった」と述べたが、これもまったく売れなかった。パッソセッテと同様、ミニバンを買う人達の気持ちを汲み取っていなかったからだ。
せっかくミニバンを買ったのに、友人から「キューブを選んだの? ふたり目の子供ができたのだからミニバンにすればイイのに」と言われてしまう。これでは売れない。
ミニバンは1990年代の中盤から急速に普及を開始して、2000年代に入るとメーカーはいろいろな発展を模索するようになった。そこで生まれた失敗作が、パッソセッテ、マークXジオ、キューブキュービックだ。すべて既存の売れ筋車種の車名を冠しており、この背景には「独立した車名にしたら売れないかも知れない」という心配もあっただろう。
結局のところ、一番重要なのは「ミニバンを買う人たちの気持ちを汲み取った商品力」だ。とくにパッソセッテは商品力が低く、車名の失敗も加わって、販売の低迷に追い打ちを掛けてしまった。