この記事をまとめると
■クルマにメカ的な要素を求めない層を取り込むためにアパレルとコラボした過去がある
■限定車もあればカタログモデルとなったモデルまでさまざまな販売形態があった
■人気モデルでは、1代限りではなく新型が出る度にコラボしていた
クルマがアパレルブランドとコラボすることでより間口が広がった
自動車というのは、身近な商品の中ではもっともメカメカしい工業製品といえる。だからこそ大好きというのが自動車ファンの声だろうが、そうしたイメージを少しでもソフトにして、幅広いユーザー層にアピールしたいと思うのが自動車メーカーのマーケティング担当者だ。
そうしたアプローチのひとつが異業種とのコラボレーションで、とくにファッション系とのコラボは積極的に行われている印象がある。ここでは、主にアパレル系とコラボしたスペシャルバージョンとして記憶に残る6モデルを振り返ってみよう。
1)スバル×BEAMS
まずは2007年秋に、スバル・インプレッサの2代目モデルに設定された「ビームス エディション」から。BEAMSといえば、オシャレ雑貨やオリジナルのアパレル展開で知られるセレクトショップ御三家のひとつ。いかにも質実剛健なブランドイメージを持つスバルがビームスとコラボすることで、イメージチェンジを狙ったといったところだ。
たしかに、ビームスのイメージカラーであるオレンジをまとった姿は新鮮で、インテリアもアイボリーとブラウンという温かみのあるイメージ。ボクサーエンジン、シンメトリカルAWDといったキーワードを忘れさせてくれる雰囲気に仕上がっていた。セールスの中心は安価な1.5リッターのFFとされていたが、それでも2.0リッター4WDを用意したのはスバルらしかった。
2)スズキ×HELLY HANSEN
スバルとビームスのコラボは一代(1台)限りだったが、長年にわたり関係を築き上げてきたのがスズキとマリン系アパレルで知られるヘリーハンセンだ。その関係は1989年まで遡ることができる。初代エスクードの特別仕様車として「ヘリーハンセンリミテッド」が設定されたのが始まりだ。
※画像は3代目
その後「ヘリーハンセンリミテッド」はエスクードの特別仕様車として定番となり、歴代モデルに設定されるようになった。現時点でエスクード・ヘリーハンセンリミテッドの最終モデルとなっているのは2008年6月に登場したもので、ヘリーハンセンのロゴを各部に取り入れたほか、電動サンルーフを装備することで開放感あるキャビンとしたのもヘリーハンセンのイメージに通じるものがあり、うまくコラボ先のイメージを活用した特別仕様車という印象がある。最近はご無沙汰となっているが、クルマとブランドのイメージが上手く重なった好例として復活を望みたい。