この記事をまとめると
■シンプルなシリーズ式で行こうということで新型ハイブリッドシステムを開発
■DNGAプラットフォームの開発にはすでにある程度のハイブリッド化に配慮していた
■重量物を低い位置に搭載して重心を下げることで落ち着きのある乗り心地を実現
シリーズ式としてハイブリッドシステムを新開発
11月1日、ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズのマイナーチェンジが発表され、コンパクトカー専用に開発された新型シリーズ式ハイブリッドシステムが注目を集めている。
この機会にダイハツ東京支社を訪れ、開発責任者でエグゼクティブ・チーフ・エンジニアの仲保俊弘氏、ハイブリッド担当主査の坪井宏充氏にインタビューすることができた。
ーー今回、新型ハイブリッドシステムを開発したいきさつを教えてください。
坪井宏充さん(以下、坪井):小型車向けのハイブリッドシステムを、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)にするか、シリーズ・ハイブリッドにするかはかなり悩み、いろいろ比較検討しました。最終的に、小さいクルマは構造がシンプルなシリーズ式でいこう、ということになりました。もちろん将来的な軽自動車への搭載も意識しています。Bセグメントより大きいクルマならTHS、Aセグメント以下はシリーズ式がいい、というのが私たちの結論です。
ーートヨタグループとして、シリーズ式ハイブリッドを量産した経験はあるのですか?
坪井:かつて「コースター」というマイクロバスにシリーズ式ハイブリッドがありましたが、現在まで一般向け量産乗用車はありません。
ーー今回のシリーズ式ハイブリッド開発の主導はトヨタではなく、ダイハツだったのでしょうか?
坪井:あくまで開発はダイハツが主導しています。むろんトヨタさんにはご協力を頂いています。のべ50人ほどの技術者に出向していただいています。
ーー軽自動車に対するハイブリッドシステム導入のスケジュールは決まっていますか?
仲保俊弘さん(以下、仲俣):CO2排出削減に影響の大きい、比較的サイズの大きなクルマから搭載をはじめました。残念ですが、軽自動車に関する計画はまだ申し上げられる段階にありません。ご容赦ください。
ーーダイハツ社内のハイブリッドシステム開発はどういった体制なのですか?
坪井:電動系と駆動系はひとつの部門、あとエンジン部門、制御部門の計3つに分かれています。電動・駆動部門とエンジン部門は、エンジン車と同じ部門が手掛けています。制御部門だけは、エンジン車とは別部門が担当します。
ーー既存のDNGAプラットフォームにシリーズ式ハイブリッドを搭載した理由を教えてください。
坪井:DNGAプラットフォームを開発する際に、ある程度ハイブリッド化に配慮していました。また現在、ダイハツの想定する販売比率では、既存コンポーネンツの利用がコスト的にも有利で、ハイブリッド専用プラットフォームの開発は必要ありません。今回少し悩んだのは補機バッテリーの位置です。車両後部に移したとき、スペースを確保する必要がありました。質量が80〜90kg増加したことに伴い、アンダーボディの補強、センターコンソールのリインフォースメント追加を施しました。