ハイブリッド比率はロッキー全体の35〜40%になると予測
ーー発電モーターと駆動モーターが並列配置とされている理由を教えてください。
坪井:並列にすることで、パワートレインの横幅を抑えることができます。日産さんは並列、ホンダさんは直列です。ダイハツは既存のプラットフォームに搭載でき、5ナンバーサイズをキープできるよう並列を選択しました。
仲保:モーター同士の間隔をできるだけ小さくし、コンポーネンツを小さくまとめ、重量やコストを削減することにこだわりました。最小回転半径も拡大せずに済みます。ダイハツのお客様はコンパクトなボディサイズと小まわり性に期待する方が多くいらっしゃいます。
ーーリチウムイオン・バッテリーの寿命は心配ありませんか?
坪井:基本的に車両の寿命にわたって無交換で過ごせる耐久性があります。バッテリーの劣化をもたらす過充電と過放電を上手に制御しています。すでに豊富な市場実績があるトヨタさんにアドバイスをいただいています。
ーーガソリン車とハイブリッド車の販売比率はどのレベルを予測していますか?
坪井:ハイブリッドが35-40%におよぶと予測しています。さらに発売当初は一時的にハイブリッド比率が上がると思います。ガソリン車に追加した1.2リッターも健闘すると思います。従来の1リッターターボより低回転域のトルクが上まわるためです。
ーーディーゼルエンジン車投入の可能性はありますか?
坪井:ありません。ダイハツは欧州市場から事実上、撤退しています。ディーゼルエンジンも現状持っていません。
ーー一般に、ハイブリッド車は車重が増加してしまうのがデメリットですが、操縦性は確保できているのでしょうか?
坪井:バッテリーやパワーエレクトロニクスを低い位置に搭載することなどで重心を下げているので、むしろ既存の内燃機関車以上に、乗り心地など落ち着きが良いクルマに仕上がっています。
ーー同じシリーズハイブリッド車として、日産キックスの存在は意識しますか?
仲俣:先方は車両価格が100万円ほど高いので、競合はしないと考えています。ロッキー/ライズはあくまで、この価格帯でハイブリッド車を入手してみたい、という人に向けたクルマだと考えています。
■仲保俊弘さん 経歴
トヨタ自動車の製品企画部門でカムリ、アバロンなどを担当。5年前にダイハツへ出向し、実験部長に就任。CAE、試作、材料などの側面から全車種の強度、信頼性向上に努める。2年前にダイハツAセグメントのECE(エグゼクティブ・チーフ・エンジニア)に着任。
■坪井宏充さん 経歴
1997年ダイハツ入社後、エンジン設計部門に配属。以来、エンジン設計や評価に携わる。トヨタ自動車への出向を経験したあと、電動化推進に関する人員を拡大するダイハツの方針に基づき、3年前からパワートレーン企画室でハイブリッド車の開発を手掛ける。