関心がないようでじつは結構ある? デザイン変更という過去も
もうひとつ、高齢者マークを表示することで、高齢者ドライバーに自身の身体の衰え、運転技術の衰えなどを自覚させる意味も大きい。視力も体力も判断力も、歳を取れば低下してくるのが自然の摂理。元気で溌剌としている高齢者がいることはわかっているが、「自分だけは大丈夫」と過信するのはリスクを高めることになる。
そういう意味もあって、2008年には高齢者マークの表示が努力義務から義務化され、違反者には反則金や違反点数も課せられた。しかし、この高齢者マークの表示の義務化には、多くの批判が寄せられ、翌2009年に以下のようなルールに改正される。
・75歳以上の高齢者マークの義務化は当分適用せず努力義務
・加齢により体の機能が低下し車の運転に影響を及ぼす恐れのある70歳以上のドライバーは努力義務(75歳未満を削除)
またマークのデザインも、導入当初は橙色と黄色の葉っぱのようなデザインで、初心者マーク=「若葉マーク」に対し、「もみじマーク」と呼ばれていたが、その色合いから「枯れ葉マーク」「落ち葉マーク」などともいわれかなり不評だった。
そこで2011年から四つ葉のクローバーとシニアの「S」を組み合わせた現行のデザインに変更。法律的にも旧タイプの「もみじマーク」も当分の間使用できるとされているので、今も二つのマークが混在しているというわけだ。
このように、現状では表示義務がなく、努力義務だけで罰則もない高齢者マークだが、超高齢化社会が加速している今、高齢者ドライバーと他のドライバー、自転車、歩行者などが安全に共存するためにも、70歳を過ぎたら自発的に高齢者マークをつけもらいたい。そうでないと、いずれまた義務化の話も出てくるだろう……。