86とBRZの誕生は業務提携のまだまだ序の口だ
北米を中心とした電気自動車(EV)強制導入の動きに対しても、両社による共同開発によってEV専用のSUV発売にこぎつけた。EVの車両価格については、今日なおリチウムイオンバッテリーの原価が重くのしかかっている。その解決に、規模を活かした大量生産が当面の策となっている。
たとえばテスラは、モデル3の拡販に際し、米国でのギガファクトリーと呼ばれる大規模バッテリー工場建設のあと、中国で同様のバッテリー工場を建設し、これが稼働したことによって今春から日本で発売されるモデル3は、80~150万円程度の値下げを実現した。これも、リチウムイオンバッテリーの大量生産と、その生産地域が日本に近いことが功を奏した。輸送距離も車両価格低減に関わってくる。
また、リチウムイオンに限らず、バッテリーはワッセナー協約により、国家間での輸出入が禁止される製品だ。もちろん、EVのような商品となっての輸出入は可能だが、バッテリー単体での輸出入は軍事目的に転用される可能性があるため禁止されている。したがって、ただ大量にバッテリーを作れる工場を建設すれば済むのではなく、EVの消費地近くにギガファクトリーを建設する必要がある。
たとえば、ホンダが米国のゼネラルモーターズ(GM)と提携して、米国内でのバッテリー調達に道筋をつけたように、トヨタとスバルが同じ車台(プラットフォーム)を使いEVを発売することにより、同一規格のバッテリー調達を数多くできる道が拓け、競争力のある価格でのEV販売が実現することになる。
トヨタはランドクルーザーやRAV4など、スバルはアウトバックやフォレスターなどで4輪駆動(4WD)技術を誇っており、モーター駆動における4WDの知見を両社で共有できれば、より走行性能の高いEVを世に問うこともできるだろう。
トヨタとスバルの提携は、EV時代に入っていよいよ本格的な成果をあげられるようになるのではないか。