同じお金を払うならドッチが幸せ? 国産新車 vs 高級輸入車の中古を4番勝負で比べてみた (2/3ページ)

スポーツカーの象徴と日本生まれのFRスポーツがガチンコ対決!

 GR86のグレードは上から「RZ」「SZ」「RC」があり、RC以外には6速MTと6速ATの双方が用意されている。で、もしも私が新型86を買うならトランスミッションは6速MTで、グレードは大人の余裕をカマして「RZ」でいきたい。となると、基本的なオプションと諸費用を加えた支払総額は380万円ぐらいになる計算だ。

 総額380万円ほどで買える中古のポルシェは、まずは2代目ボクスター(2004~2012年)だろうか。これの「2009年式で走行5万km」みたいなイメージの個体を、数は少ないが、だいたい総額380万円前後で探すことができる。

 また、ボクスターでは格上感が足りないと感じる場合は、天下の911をこの予算で見つけることも可能だ。当然ながら現行世代や、それに近い世代の911は380万円では無理で、探せるのは「おっさんずポルシェ」として名高い996型カレラ ティプトロニックS(1998~2004年)の、しかも人気薄な前期型が中心となる。

 この2つ、すなわち2代目ボクスターPDKまたはおっさんずポルシェ(996カレラのオートマ)と、新車のGR86では、果たしてどちらがより幸せになれるのだろうか?

「それはもう新車のGR86の圧勝、秒殺でしょ?」と、多くの人は思うかもしれない。私も、当初はそう予想していた。

 だが長考に入ってみると、勝負はそう簡単ではなかった。中古ボクスターとおっさんずポルシェは、私の脳内で意外と健闘したのだ。

 引っ張っても仕方ないので結論を申し上げよう。おっさんずポルシェ軍団の勝ちである。

 最高速度とかは出す場所もないので知らないが、全般的な走行性能は、もしも快適性や利便性をも含めて考えるなら、86の圧勝だろう。運転支援システムについてはとくに86の秒殺勝利である。

 だがそれでも……「人生のある時期、ポルシェを所有する」というのは、自動車好きにとっては果てしのないロマンである。それがボクスターであっても、おっさんずポルシェ(996のオートマ)であったとしても、だ。

 そうであるがゆえに、ここはGR86および新型BRZの各種性能に敬意を表したうえで、「それでもポルシェは、存在もフィーリングも特別である」ということで、中古のポルシェを手に入れることを「幸福」と定義したいのだ。レンジローバースポーツの修理代にはメンタルがもたないが、ポルシェなら、耐えられそうな気もする。

 そしておっさんずポルシェ(996のオートマ)も、クソ安い中古車は破滅への道以外の何物でもないが、総額380万円も出すと、じつはけっこういいのが買えるのだ。

 気がつけば本稿も長くなってしまったので、あとはコンパクトにまとめよう。

 新車の日産ノート対中古のフォルクスワーゲンゴルフ(先代VII型)。これは、ノートにプロパイロットを付けると支払総額300万円級の戦いになるわけだが、「僅差でゴルフの勝利」である。

 インテリアのおしゃれ感はノートも決して負けておらず、日本の道路では中心となる低中速域では、ノートの走りもけっこうよろしいと感じる。だが、簡単に言ってしまえば「乗り心地」はゴルフ7のほうが圧倒的によろしいため、やはりここは「ゴルフのほうが幸せ」とするほかないのだ。総額300万円で、走行1万kmぐらいの末期型が買えるだろう。とはいえ私はノートも好きだ。「オーラ」のほうは、さらに好きだ。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

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