圧倒的な速さで日本人がF1で勝てることを証明してほしい
角田選手は2019年にFIA F3選手権にデビュー。初の海外レースにもかかわらず後半3戦で表彰台を獲得しシリーズ9位に。その走りがレッドブルの目にとまり、翌2020年にはFIA F2選手権にステップアップしました。日本のスーパーフォーミュラに準ずる速さのトップカテゴリーなだけに、通常は体力的にも苦戦する筈がポールポジション4回、優勝3回でシリーズ3位を獲得。レッドブルの期待を上回る活躍を示して2021年のF1シート獲得となったのです。
おそらく本人も戸惑うほどの変化だったといえるでしょう。海外レースにデビューして3シーズン目にF1にたどり着けるのは、欧米ドライバーにとっても滅多に起こることではありません。
F1ドライバーの多くはペイドライバーと言う、いわゆる「スポンサー持ち込み」でシートを買うケースがほとんどな中で、角田選手は「速さ」だけで頂点まで辿り着けた希有な存在と言えるのです。
性格が悪くても、お馬鹿さんだったとしても、角田選手のような「圧倒的な速さ」を示せるなら、F1に行ける。しかし、問題はその先にもあるのです。ただF1レーサーになりたいだけなら、莫大なお金を積めばどこかのチームで乗れるでしょうが、フェラーリやメルセデス、レッドブルなど勝てるチームのマシンに乗れることはないでしょう。性格が良くて知識も豊富で、人並みに速ければ、何かのチャンスで声がかかることもあるでしょうが、それでもトップチームのマシンには乗れません。角田選手のような圧倒的な速さに豊富な専門知識、経験、語学力そして人柄に恵まれれば、日本人でもメルセデスAMGペトロナスF1チームやスクーデリア・フェラーリチームから声がかかる可能性はあると言えます。
そのためには日本人でもF1で勝てることが示され、日本人でもF1チャンピオンになれることが誰かの手によって証明されなければならないでしょう。今は角田選手にまずはF1でのポールポジション獲得と日本人初優勝の悲願を達成してもらわなければなりません。その日が2022年シーズンのどこかで訪れることを期待しています。
つまり、「圧倒的な速さ」以外の条件はない、ということなのです。速くてお金を積めれば、誰でもレースに出場できレーサーを名乗れます。しかし、レーシングドライバーとして大成するには「圧倒的な速さ」しか条件はないのです。