ECVTでの経験が現在のリニアトロニックに活かされている
しかし、CVTのメリットを見抜いていたスバルは、軽自動車のレックスやサンバー、ヴィヴィオといったモデルにもECVT搭載車を設定し、当時提携関係にあった日産へも供給。2代目マーチに「N-CVT」という名称で搭載されていたほか、フィアットのパンダとウーノにも搭載されていたのだった。
ただ、このECVTは「電子制御電磁パウダークラッチ」を用いており、その名の通りパウダー状の磁性鉄粉を用いてトルクの伝達を行うのだが、このパウダーが経年劣化でサビたり磁力を帯び続けたりすると適切な伝達管理ができなくなり、最悪の場合走行不能になるというトラブルが発生してしまうのだ。
もちろん修理も可能だが、比較的低価格帯の車両に搭載されていたこともあって乗り換えを選択するユーザーが多く、気づけばECVT搭載車はかなり希少となってしまった。
ただ、このような経験があったからこそ、スバルは現在「リニアトロニック」と呼ばれる大トルクにも耐えうる、ドライバビリティの高いCVTを開発できたとも言えるのではないだろうか。