生産された500台はいまやコレクターズアイテム化
もっとも生産台数が多いと思われる独特なレッドメタリックのボディカラーは「ロッソ8C」と呼ばれる専用色で、インテリアは159やブレラとも共通性を持つもの。センターコンソール手前には、結果的に8Cコンペティツィオーネが500台の限定生産車となったことを表すプレートも備えられている。シートやトリムにはやはり鮮やかなレッドも用意される。
さらに驚かされたのは、エンジンやシャシーのディテールだった。それはまさにフェラーリやマセラティに対しての下剋上ではないか。たとえば搭載されるエンジンは、赤い結晶塗装が施されたヘッドカバーがフェラーリ・テスタロッサの再現とも思える90度V型8気筒。しかも排気量はフェラーリやマセラティが当時使用していたものよりも大きく、4.7リッターの設定で最高出力は450馬力という数字だ。
最大トルクの470N・mは、その80%を2000rpmから発揮するというから、Qセレクトとネーミングされた6速セミATとの組み合わせでも、加速性能はフェラーリやマセラティ並みの数字が期待できる。変速モードが2タイプ(ノーマル、スポーツ)と、このあたりでは現在ではやや古さを感じさせるこのミッションは、デファレンシャルと一体化されてリヤに搭載。すなわち重量配分を最適化するためにトランスアクスルの基本設計を8Cコンペティツィオーネは採用する。
8Cコンペティツィオーネのワールドプレミアが行われたアルファロメオのブースには、プレスデイの期間から仮予約を受け付ける別室も用意されていた。今では限定車というと、すでにすべてのモデルはソールドアウトしていますというアナウンスが一般的なのだが、この時代、そしてアルファロメオというブランドでは、そこまでの争奪戦は事前にはなかったということなのか。
だが実際には、やはり500台の販売枠は、ショーでの正式発表からわずかな時間でそのすべてが埋まってしまい。現在ではこの8Cコンペティツィオーネも貴重なコレクターズアイテムとして、オークション・シーンなどでは取り引きされている。