この記事をまとめると
■ホンダが小型バッテリーを開発した
■インドなどで実証実験を重ねており、信頼性は抜群
■待ち時間がゼロでEVを運用することができるようになる
EVの課題である「充電時間ゼロ」にホンダが挑戦!
自動車業界は、「100年に1度の革命期だ!」なんて言われて数年が経過し、本当に切り替わるかどうかはさておき、世界中の自動車メーカーは、現状では近づきつつあるカーボンニュートラルを目指して日々EVなどの開発に勤しんでいる。
EVは確かにエンジン車に比べて圧倒的に静かで快適な車内空間を備えるし、一度アクセルを踏み込めば俊敏で軽快な走りをすることもできるほか、災害時には電気の供給ができるなど良いこと尽くめではある。ある意味、これこそが未来へ向けた理想的な自動車のあるべき姿なのかもしれない。
しかし、今のEVにはエンジン車にはない大きなデメリットが存在する。それは「充電時間」だ。オーナーが家にいて、EVの車両に乗ってないときは何時間でも充電できるので特に不便はしないが、外出時に、1度の充電で30分も時間を取られていたら、その時間を億劫に感じない方に無理がある。ガソリン車だったら、例えガス欠寸前だったとしても満タンまで5分も掛からないだろう。EVの話題を挙げるとほぼ必ずと言って良いほど「充電時間の長さ」が引き合いに出されるのはもはやお約束なのだ。
そんな充電時間の問題解決への一歩を踏み出したのがホンダである。今回紹介する新製品「モバイルパワーパックe:」は、充電時間ゼロを目指したありそうでなかった製品だ。
高さ約30cm、横約18cm、厚さ約16cm、重さ約10kg、定格容量1314whのこのリチウムイオンバッテリーは、ひとつから使用できる万能なバッテリーとなっている。
簡単に説明するとこのバッテリーの最大のメリットは、街中に設置されている専用のモバイルパワーパック交換機で、使用して容量の減ったバッテリーと、ステーションで用意されている満充電のバッテリーを交換していくことで、利用者がいつでも満充電されたバッテリーを、待ち時間ゼロで使用できるというもの。
「EVは魅力的だけど、バッテリーがその場で交換できて待ち時間がなければ……」という、一番多いであろうEVに対する不満を一瞬で解決する画期的な製品なのだ。
もちろん、思いつきで登場したアイデア商品ではない。このバッテリーは、インドやフィリピン、インドネシアなどの、三輪車のタクシーが比較的多い地域で実証実験を繰り返し行なってきた製品で、数十万キロ以上の走行テストをクリアしている。
耐候性や耐久性もお墨付きで、現地のユーザーからの評判はよく、ガソリンよりもコストが安く、給油よりも早い交換作業といった三輪タクシーにピッタリのパワーソースとなっている。このEVで駆動する電動三輪タクシーを普及させるために、ホンダは電動三輪タクシー「リキシャ」を製造するメーカーと協力して運用していくとのことだ。インドではすでにこのバッテリーシェアリング事業を目的とした現地法人も設立されている。ちなみに、バッテリーの生産もインドで行われるとのこと。