「砂漠のロールスロイス」を有するメーカーにもじつはFFがある
たとえば、先ごろフルモデルチェンジを発表したばかりのレンジローバーを擁するランドローバー・ブランドのラインアップを見ると、少なくとも日本向けについては全車が四輪駆動となっている。グローバルに見ても、レンジローバー・イヴォークに前輪駆動グレードが用意されている程度なので、スバルと同等レベルの四駆比率に仕上がっているといえる。
ただし、ランドローバーというのはブランドであって、企業としてはジャガーランドローバーである。ジャガーのセダンを中心に二輪駆動がそれなりに存在していることを考えると、企業単体で見たときの四駆比率でいうとスバルにはまったく敵わないだろう。
ランドローバーと並んで、クロカン四駆の伝統的なブランドであるジープにしても同様だ。日本向けラインナップを見ると、ラングラー、チェロキー、グランドチェロキーといったモデルについては四輪駆動の設定しかないが、コンパクトクラスのレネゲードやコンパスには前輪駆動グレードが用意されている。100%四輪駆動というわけではないのだ。
そもそもジープというのは、単独のメーカーではなく、現在は米仏伊の企業が合体したステランティスの中にあるブランドのひとつに過ぎない。そう考えると、OEM供給車は除くという条件付であっても、単独企業として98%の四輪駆動比率を誇るスバルは、まさに特別な存在といえる。
そんなスバルは、はたして電動化時代にあっても、四輪駆動というブランドのアイデンティティを守り続けていくのかどうか。少なくとも、トヨタと共同開発している電気自動車「ソルテラ」については前後にモーターを配した四輪駆動になるということがアナウンスされている。