モデルチェンジに踏み切れない「電動化」の壁
長寿になった2つ目の理由として、今後の需要動向もある。GT-Rであれば、いつまで高性能なスポーツカーの需要が続くかわからない。前述のとおりGT-Rは販売台数が少ないため、多額の開発費用を使ってフルモデルチェンジしたなら、少なくとも10年は作り続けたい。しかし近年では、電動化の論調も激烈で、欧州では2035年にハイブリッドを含めたエンジン搭載車を禁止する話まで持ち上がっている。
この状況では、GT-Rに限らず、数年後の改良で電動化に対応できない車両の新規開発は難しい。6年以内で生産を終えることが前提の大量生産車なら、今後のフルモデルチェンジも可能だが、少量生産車は踏み切れない。
3つ目の理由として、メーカーの戦略も挙げられる。日産は2010年に電気自動車のリーフを発売して、GT-Rを手掛けながら、電気自動車メーカーとしての訴求も行っている。アリアの受注も開始した。今後の日産の方向性と、スーパースポーツカーとされるGT-Rの親和性を考えると、噛み合いにくい面もある。
以上のように長寿モデルは、GT-Rに限らず「やめるに、やめられない」状態だ。メーカーも今後の発展について悩んでいるため、フルモデルチェンジを行わずに改良を続けながら、今に至っている。