ホンダ・シビックとガチンコ勝負!
2代目へのフルモデルチェンジは1983年に実施されたが、自動車ファンの印象に残っているのは1987年に生まれた3代目ミラージュだろう。アニキ分であるランサー系のプラットフォームを使用することでベースの実力をアップした3代目ミラージュには「4G61」1.6リッターDOHCターボエンジンが設定され、後期型では160馬力を発生。ちょうどシビック系にホンダとして久しぶりのDOHCエンジン「ZC」が搭載されたタイミングと相まって、ストリートでのライバルとして見られたものだ。
1991年にフルモデルチェンジした4代目ミラージュは、シビックとガチンコの勝負に挑む。このモデルでは自然吸気かつ可変バルブリフト機構「MIVEC(マイベック)」を備えた1.6リッターエンジン「4G92」の設定がトピックスで、まさにホンダのVTECエンジン「B16A」のライバルとして、ストリートやモータースポーツで火花を散らしたことは記憶に残る。
そんなホットハッチとしての側面だけでなく、ミラージュはラグジュアリーな小さな高級車というキャラクターも持っていた。その象徴といえるのが同じく4代目ミラージュに搭載された“世界最小V6エンジン”「6A10」だ。その排気量は1.6リッターで、V6から想像されるキャラクターに合わせてセダンボディだけに設定されることになった。
1995年にフルモデルチェンジした5代目ミラージュでは、1.8リッターに排気量アップしたV6エンジンが搭載されるなど、この時期のミラージュには上級志向のコンパクトカーというイメージが強かった。しかし、それが仇になった。日本においてはバブル崩壊以降、そうした贅沢なコンパクトカーへのニーズが小さくなり、ミラージュには時代とズレたモデルという印象が強くなっていく。
結果として、この5代目が2000年に販売終了すると、日本からはミラージュというモデルは消えてしまった。それが復活するのは、冒頭に戻って2012年8月のことであった。