時間の経過とともに売り上げを伸ばした名車も
2)初代スズキ・ワゴンR(1993年発売)
アルトを発端にボンネットバンが増えて軽自動車市場は潤ったが、1990年を過ぎると届け出台数が下がり始めた。
そこで1993年に登場したのが初代ワゴンRだ。全高を1680mmと高く設定して、広い室内を備える。4名乗車も快適で、後席をワンタッチで格納すると広い荷室になった。
初代ワゴンRは1990年代に急速に普及したミニバンのような空間効率を備え、従来の軽自動車に比べると実用性が大幅に高い。アルトのようなボンネットバンは、後席が狭くセカンドカーのニーズに対応したが、ワゴンRはファミリーカーとしても機能した。
初代ワゴンRが発売された時の1カ月の販売目標は5000台だったが、1994年には1カ月平均で2倍以上の1万2000台が販売され、1995年には1万7000台、1996年には2万台と増えていった。
通常のクルマの売れ方では、発売から時間が経過すると販売台数は下がるが、初代ワゴンRは逆に増えている。これは市場へ着実に浸透していったことを示しており、息の長い人気車特有の売れ方だ。
3)初代ホンダN-BOX(2011年発売)
ワゴンRはムーヴやプレオのようなライバル車を生み出し、軽自動車は背の高い車種を中心に売れ行きを伸ばした。
2003年に初代ダイハツタントが発売されると、全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンの時代が訪れた。2007年から2008年には、2代目タントとライバル車のスズキ・パレット(スペーシアの前身)がスライドドアを備えて発売され、人気をさらに高めている。
そして2011年に発売されたスーパーハイトワゴンが初代ホンダN-BOXだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、前輪駆動の軽自動車では最長の2520mmとされ、専用のエンジンを開発してボンネットを短く抑えた。
その効果でN-BOXは、軽乗用車では最大の居住空間を備えていた。外観もシンプルで視覚的なバランスが優れ、2012年には1カ月平均で1万7600台を届け出している。その高人気が2代目の現行N-BOXに繋がっている。