この記事をまとめると
■いま軽自動車が売れていてとくにホンダN-BOXは大ヒットとなった
■しかし過去にもバカ売れした軽自動車が存在した
■この記事では3台の具体例を挙げて解説する
左側ドアの鍵穴まで省いてコストダウン!
1)初代スズキ・アルト(1979年発売)
現在ラインアップされている軽自動車には、かつて好調に売れた実績のある車種も多い。とくに歴史の長い軽自動車がスズキ・アルトだ。初代アルトは1979年に発売されてヒット作になった。
初代アルトがヒットした一番の理由は47万円の低価格だ。当時の軽自動車の価格は、スズキ・フロンテでもっとも安価なスタンダードが56万8000円だったから、アルトはその83%の価格設定であった。
低価格を実現できた理由は、軽乗用車ではなく、軽商用車(ボンネットバン)として開発されたことだ。1989年に消費税が導入される前は、クルマの価格には卸値に課税される物品税が含まれていた。その税率は、軽乗用車は15.5%だが、軽商用車は非課税であった(この後に5.5%まで課税)。従って軽商用車の規格を使えば、価格を安く抑えられた。
そこでアルトは軽商用車として開発され、コストダウンも徹底させている。ラジオや時計はオプションで、左側のドアの鍵穴まで省いた。
商用車規格で開発すると後席が狭まるが、当時はセカンドカー需要が増え始めた時期だから、軽自動車は2名以内の乗車で使うことが多い。何よりも低価格のインパクトが強く、アルトの売れ行きは急増した。
アルトの後には、ダイハツ・ミラ(1980年)、三菱ミニカエコノ(1981年)、スバル・レックスコンビ(1981年)など、ボンネットバンの軽商用車が追随している。