自転車の積み込みやすさは数値だけでは語れない
が、数値だけですべては語れず、意外にも自転車が積み込みやすいのが、スペーシア。じつはスペーシアのラゲッジスペース開口部には、自転車積載のためのサポートガイドとなる切れ込みがあって(タイヤが左右にブレにくい)、そこの高さで言えば510mmとなり、さらに後席を格納した時のフラット度が優れているからなのだ。このスーパーハイト系軽自動車なら、どれでもママチャリの積載が可能だから、あとは細かい数値、そしてクルマの基本部分の好みで決めればいい。
もちろん、自転車を寝かして積み込めれば安定感という点で有利なのだが(天井高をあまり気にせずクルマ選びができるようになる)、その場合、後席を両側格納しなくてはならず、後席5:5分割による3名乗車が不可能になるデメリットがある。
では、軽自動車でなく、コンパクトカーだったら、どんなクルマに自転車が積めるのだろうか。ここでも全高の高さが決め手となり、候補は背の高いプチバンが有力だ。よって、スズキ・ソリオ、トヨタ・ルーミー、ダイハツ・トール、そして本来は3列シートのコンパクトミニバンであるトヨタ・シエンタやホンダ・フリードの2列シートモデルとなるシエンタFUNBASE、フリード+などをリストアップすることができる。
この中で、自転車のフロアへの積み込みやすさにポイントを置けば、つまり、ラゲッジフロアの低さ=開口部地上高で言えば、プチバンではルーミー、トールの527mmがベスト。ソリオは660mmとなる。一方、コンパクトミニバンの2列シート版では、シエンタFUNBASEが530mm(ローデッキ)、フリード+が335mm(最低値)となる。
この2台はそもそも大容量ワゴン的パッケージで、ラゲッジフロアが低く自転車が積み込みやすいのが美点だが、逆に3列シートモデルに対するデメリットもある。それは2列目席キャプテンシートが選べず(4人乗りになってしまうから)、自転車を真っすぐ、2列目キャプテンシートの隙間=通路に前輪を通す効率的な積み方ができない点だ。4人乗り前提で自転車を積み込みたいなら、あえて3列シートの2列目キャプテンシートモデルを選ぶのが正解かも知れない。
最後に衝撃的!? な話を。上記の背の高いクルマたちが苦手、あるいは自宅マンションの駐車場の関係で無理、というなら、切り札として、ホンダ・フィットがある。ホンダ独創のセンタータンクレイアウトによって、後席を低く沈み込ませるように格納すると、奥行き1600mm、天井高780mmの巨大空間が出現。なんと自転車を立てたまま積載することが可能となる!!(2名乗車/自転車によっては不可の場合もある)。ラゲッジルーム左右のフックによってベルトでしっかり固定できるため、コンパクトカーのジャンルで全高1550mm制限の立体駐車場の利用+自転車の積載という条件では、大穴的1台と言えそうだ。
なお、いずれにしても、クルマの購入時には、寸法だけにとらわれず、セールスマンにお願いして、実際に所有している自転車を積み込んでみて可否を確認することが不可欠だ。