国内向けに少量を生産する場合は価格を高めなければならない
例外として、国内向けの商品でありながら、販売目標台数の少ない車種もある。それが月販目標50台のセンチュリーだ。特殊なVIP向けの車両だから少なく抑えた。
その代わり現行型の価格は2008万円に達する。先代センチュリーは1カ月の販売目標を200台に設定したから、価格は1253万8286円だった。それが50台に減ったことで、現行型の価格は発売時点で1960万円、現在は2000万円を超えている。先代センチュリーは専用のV型12気筒エンジンを搭載したが、現行型のパワーユニットとプラットフォームは、先代レクサスLS600hと共通でコスト負担を抑えた。それでも生産台数が少ないと、700万円以上の値上げになるのだ。
以上のように販売目標が少ない車種は、大半が海外向けだから成立している。センチュリーのように国内向けに少量を生産すれば、価格を大幅に高めなければならない。
なお海外向けの車種を少数ながら日本へ導入する背景には、イメージリーダーの役割もある。NSXやシビックは、ホンダのダウンサイジングしたブランドイメージを是正するのには最適だ。それなのに販売方法や宣伝の仕方が悪く、十分に訴求できていない。ホンダに限らず、販売台数の少ない趣味性の強い車種は、ブランド確立の側面からもっと有効に活用すべきだ。