十分に停止できる距離を置きながら先を見て運転することが重要
そうはいっても前車が大型トラックだったら先読みなんて不可能では? と言われそうだがさにあらず。大型トラックであれば大抵車高が高い。少し距離を保てば車体の下を通して前方の状況をうかがい知ることができる。大型トラックの前車がブレーキランプを踏めば、その光が路面に反射しているのが見えるはずだ。とくに夜間や雨天には反射光が見えやすいだろう。道路周辺建物のガラスに反射した光で確認できることもある。それでも確認しづらければ大幅に車間を取り、トラックが急停止しても対処できる距離を置くことだ。
路上の異物などは大型トラックでは避けることが難しい場合も多く、そのまま直進して通過してしまうこともある。そこを乗用車で無意識に踏んでしまうとタイヤがバーストを引き起こしたり、異物が急に舞い上がって視界を遮ってしまったりすることもあるので危険だ。どんな状況にも余裕で対処できるくらいの車間を保ち、注意力を最大現に発揮し続けているべきなのだ。
ワインディングなどコーナーの多い山道を走行する場合は、前車だけでなく、コーナーの先の先を注視する必要がある。手前のコーナーアプローチだけでなく、コーナー出口から次のコーナーのアプローチまで、見える先を最大限に見ておく。そこでスピンしていたり、停止していたりする車両はないか、路面の異常はないかなど、あらゆる情報を先取りして対処する準備をしておかなければならない。
のんびり景色を眺めている余裕などないのである。
「先読み」を完璧にこなすには習慣化することが重要で、先を読めば読むほど情報量が増え疲労も増す。疲れたら休む。ドライバーの仕事は大変なのだ。
こうしたドライバーの負担を軽減する意味でも「Car to Car(カーツーカー)」の情報通信が必要だと考えている。2台、3台前方のクルマが、その先の情報を先取りして航続車両にデータを送信してくれるシステムだ。
路上の変化や異物、渋滞停止などを自動で後続車に伝達してくれたら、運転アシストとして大きな負担軽減になる。現在の多くの運転アシストは自車のカメラやソナーで確認できる範囲をドライバーに知らせてくれるが、前述のように前車が大型トラックだったら、その先は知ることができない。人間が見ることができない範囲を機械が見てくれてこそ価値があるといえるが、現状のものは人間が見える以下のレベルでしか認識できない。霧や夜間の降雪などでカメラが機能できなくなるとドライバー任せになる。これでは意味がない。
まずはすべてのドライバーが「先読み」する運転を理解して実践し、その有効性を認知することでメーカーにはさらにその「先を読む」機能の開発を求めることができる。
トラックやワンボックス車の直後に位置して信号が視認できずに交差点に進入し、交通違反として検挙されたら馬鹿らしい。そうした状況は予見可能なのに対処しない信号管理者にも責任はある。信号から自動車への通信も不可能ではないのだから。