新型で実用性と快適性が向上して人気復活なるか!
さて、こうした変更を受けてキャラバンはどんなふうに良くなっていたのか。ここでお詫びをしなければならないのだが、ボクはこの試乗のあとに友人の現行ハイエースに乗りに行ってきたりはしたものの、先代にあたるNV350に乗った経験がない。だから先代から新型への進化の度合いをお伝えすることができない。でも良いか悪いかぐらいは判断できるだろう、と思いながら走り出したのだけど……いや、これがなかなかよかった。
まず、車内が静かだな、と感じられたこと。シートの下にエンジンがあるわけだから、エンジンの音がもっと車室内に入ってきても不思議はないのだが、普通の乗用車並みとまではいかないまでも、商用バンとしてはかなり静かな部類。これには多段化されたATも、大きな貢献を果たしていると思う。
決してパワフルとはいえない直4ガソリンエンジンのパワーやトルクの美味しいゾーンを使って走りやすいし、何より100km/h走行時のエンジン回転数は2100〜2200回転ほどと低めに抑えられるため、高速巡航時にガーガーうるさい! と感じることがない。
ギヤ比の設定も巧みで、低速域から滑らかに加速を繋いでいくし、変速ショックも小さい。道路の勾配によってはシーケンシャル操作でギヤを一段落としたりできるようになったわけだが、そんなときにエンジンの回転が上がりすぎて喧しいと感じることもない。以前の5速ATを知らなくても、この7速ATの採用が極めて有効な変更だったことは理解できる。
もっと重要なのは、乗り心地がいいことだ。路面がどうなってるのかはちゃんと伝えてくるのに凹凸のショックはだいぶ綺麗にやわらげられて、商用バンとは思えないくらい快適。そう、“快適”といっていいレベルにあるのだ。ぶっちゃけ、友人のハイエースとも較べものにならないくらい快適。先代に乗ったことのある同業が賞賛していたくらいだからここは大きく進化している部分なのだろうが、サスペンション周りには手を入れてないということだから、どうやらそれはスパイナルサポートシートの採用によるものと見ていいだろう。
日産の社内では商用車にこのシートを採用するのはもったいないという声もあったそうなのだが、いやいや、それは間違っている。働く人達の移動こそ快適であるべきなのだ。
試乗会の会場にはこうしたクルマを毎日の仕事に使っているカリスマ級の職人さんがふたりいらしていた。
彼らは「1日仕事してクタクタになって、また疲れるクルマで帰るのは気が滅入る」みたいにクチを揃えておられた。そうしたナマの声に応えるべく開発が進められたのが新型キャラバンだ、といっていいだろう。カリスマ職人さん達が新型キャラバンをほぼ絶賛しておられたことからも、その開発姿勢がうかがえる。徹頭徹尾プロフェッショナルのためのクルマ、なのだ。
そうしたプロフェッショナル達を満足させられる使い勝手、性能、そして快適性を持っているのだから、こうした商用バンをアウトドア系の遊びに使う人達だって充分に満足させられるはず。ウソだろ? と思ったら、ぜひディーラーで試乗してみるといい。おそらく今の段階で、このクルマを凌ぐ最良の相棒はないかも、と感じられるはずだから。
さてさて、新しいキャラバンはハイエースをうっちゃることができるのか──? 乞う御期待、だ。