SUVは同じサイズでも性格の異なる車種をそろえられる
トヨタがコンパクトSUVに力を入れる3つ目の理由は、SUVという商品が、ほかのカテゴリーに比べて多様性を備えることだ。SUVの原点ともいえるランドクルーザープラドのような悪路向けの車種、ハリアーのように悪路を連想させない都会的なタイプ、両車の中間に位置するラフロードなら対応可能なRAV4など、SUVは同じサイズでも性格の異なる複数の車種をそろえられる。スバル・インプレッサスポーツをベースにしたXVのように、既存の車種に手を加えることで、SUVに変更することも可能だ。
トヨタは前述のとおり、売れ行きを伸ばせる小型/普通車を豊富にそろえる必要があるため、SUVに注目した。その結果、もっとも小さなSUVには、都会的なヤリスクロスとラフロード風のライズがある。少し大きな車種には、都会的なC-HRと、共通のプラットフォームを使う実用的でラフロード感覚も伴うカローラクロスを用意した。さらにLサイズには、同じプラットフォームを使ったハリアーとRAV4がある。
以上のようにSUVは、カッコ良さと実用性を併せ持つために人気のカテゴリーとなり、なおかつ同じサイズで性格の異なる複数の車種をそろえられる。そこでトヨタは小型/普通車の売れ行きを伸ばすため、SUVの車種数を充実させた。
海外メーカーも同様で、メルセデスベンツのGLCやGLEも、オーソドックスなワゴンスタイルと5ドアハッチバック風のクーペを選べる。このように世界中のメーカーやブランドが、今はSUVに群がっているわけだ。