この記事をまとめると
■トヨタはコンパクトSUVを多数ラインアップしている
■2019年にライズ、2020年にヤリスクロス、2021年にはカローラクロスを発売
■なぜトヨタは似通ったモデルをそろえるのか? 3つの理由を解説する
現在のヤリスクロスの価格は16年前のRAV4と同等
トヨタは2019年にライズ、2020年にヤリスクロス、2021年にはカローラクロスという具合に、コンパクトなSUVの新型車を毎年発売している。
なぜトヨタはコンパクトな似通ったSUVをそろえるのか。そこには3つの理由がある。
1つ目の理由は、コンパクトなSUVの販売が、日本国内と海外の両方で好調なことだ。とくに最近は、安全装備や環境性能の向上、消費増税によってクルマの価格が高まった。ヤリスクロスに直列3気筒1.5リッターのノーマルエンジンを搭載する2WDモデルでも、中級のGが202万円、上級のZは221万円だ。
ちなみに先代RAV4の価格は、2005年の発売時点で、直列4気筒2.4リッターエンジンの2WD・Xが197万4000円、上級のGでも216万3000円だった。現在のヤリスクロスの価格は、16年前のRAV4と同等だ。
しかも1世帯当たり平均所得を2005年頃と比べると、ほぼ同等か、あるいは今のほうが少し低い。所得は伸び悩んでクルマは値上げされたから、小さなクルマに乗り替えるユーザーが増えた。そのためにコンパクトSUVは人気のカテゴリーになり、トヨタも車種を増やしている。
トヨタがコンパクトSUVをそろえる2つ目の理由は、小型/普通車が中心のメーカーであるためだ。今は各メーカーとも軽自動車の販売比率を増やし、日産は国内で売る新車の40%、ホンダは55%前後が軽自動車になった。その点でトヨタは、一部のOEM車を除くと、軽自動車をほとんど用意していない。そうなると小型/普通車を数多く売る必要があり、売れ筋カテゴリーのコンパクトSUVを充実させた。実際にトヨタ車の販売は好調で、2021年1〜9月には、国内で新車として売られた小型/普通車の52%がトヨタ車であった(レクサスを含む)。