市街地を走る市販車の排気音は消音されている
レーシングカーでは排気音がそのまま大気へ放出されても、競技の演出のひとつとなる。しかし、市販のスポーツカーでは市街地も走るので騒音公害になる。このため、消音しなければならない。
消音といっても、音がまったくなくなるわけではない。音の基となるガスの振動を調整することで、雑な音は消し、透き通った音は残す調整が、マフラーと呼ばれる部分で行われる。
音の調整は、振動を次第に減らすため通路を複雑にしたり、ガラスウールと呼ばれる吸音材に振動を吸収させたり、それらを組み合わせることによって行う。
ライトウェイトスポーツカーではあるが、マツダのロードスターは、オープンカーとクーペのRFでマフラー内の構造を変え、排気音を別の音色にしている。
もし、排気音をまったくなくそうとするなら、排気のガス振動をなくさなければならない。それは振動を止めることに通じ、排気が滞れば、巡り巡ってエンジン内の燃焼ガスを出し切れなくなり、吸気を十分に導入できなくなって、出力を上げられなくなる。人間も、排出しなければおなかが張って食べられなくなるのと同様といえる。
エンジンにとって、滑らかに排気を放出することは、適切な出力を得るうえで大切なことであり、排気の消音にも、おのずと限度があるということだ。