スペース効率の悪さで日本・欧州では人気が出ていない
一方の日本勢は、現在はトヨタ・ハイラックスが販売されているが、その前は三菱トライトンがメジャーだった。直線基調のハイラックスと比べると、大胆な曲面を多用したデザインが個性的だった。エンジンはハイラックスは2.4リッター直列4気筒ディーゼルターボだが、トライトンは3.5リッターV6ガソリンだった。
ただしハイラックス、トライトンのどちらも日本製ではなく、タイで生産される輸入車だ。タイは東南アジア諸国のなかでは珍しくピックアップが人気で、日産やいすゞなどもここでピックアップを作り、世界中に輸出している。
昔はほとんどの日本メーカーが国内でピックアップを作り売っていた。日産のダットサンやサニートラック、マツダ・プロシードなど、いくつものクルマが思い浮かぶ。
ではなぜ日本でピックアップトラックの人気が下火になってしまったのか。スペース効率が悪いからだろう。ヨーロッパも同様の考え方で、ピックアップはトヨタや日産などがたまに走っているに過ぎない。
しかし、北米や南米、東南アジアやアフリカなどでは、今も根強い人気を持つ。前輪とエンジンの上に運転席があるキャブオーバーと比べて快適性が高いうえに、スポーティな走りも楽しめるからだろう。
つまり、効率よりも余裕を重視したクルマ選びをする人がそれなりにいることになるわけで、日本ももう少し余裕を持ったカーライフを楽しめるような社会になってほしいものだ。