日本で成功を収めるには話題性だけではなく実力も必要だ
とはいえ、ジュリアーノはFIA-F2での不振について「FIA-F2は政治的なカテゴリーで莫大な資金を持ち込むか、F1のマネージャーがついていないとトップチームに入ることは不可能だった。ワンメイクカテゴリーだけど実際にはチームの実力に差があり、トップチームにいなければチャンスはなかった」と某雑誌のインタビューで答えていただけに、ヨーロッパでのチャンスを失ったジュリアーノにとって、日本でのレース活動は魅力的な選択肢だったに違いない。
スーパーフォーミュラ・ライツで結果を残してスーパーフォーミュラへステップアップし、そこで結果を残すことができれば、たとえ遠回りになっても再びF1への道は切り開くことができるし、仮にF1へのステップが難しくなったとしても、日本はトヨタを筆頭に、ホンダ、ニッサン、スバルとモータースポーツ活動を展開する自動車メーカーを数多く持つだけに、プロドライバーをターゲットに置くならば、ジュリアーノの来日は”前進”となるに違いない。
もちろん、日本のレースシーンにおいて成功を収めるためには”アレジとゴクミの息子”という話題性だけではなく、実力も求められてくるが、名門トムスでスーパーフォーミュラ・ライツにデビューしたジュリアーノは、第14戦を終えた段階で計2勝をマークしたほか、スーパーフォーミュラにもスポット参戦を果たし、第3戦のオートポリスで自身初優勝を獲得。ほぼすべてのサーキットが初経験ということを考えれば、悪くないリザルトと言っていい。
2022年以降もトムスの一員としてスーパーフォーミュラ・ライツに参戦し、素晴らしいリザルトを残すことができれば、その翌年はスーパーフォーミュラおよびスーパーGTでGT500クラスに参戦することも不可能ではないだけに、ジュリアーノの日本でのチャレンジを前進とするのか、後退とするのかは、彼の動向次第だと言えるだろう。