プラットフォームの統一によってコスト面でも有利に
もうひとつ、スバルは車種が少なく、プラットフォームもひとつしかないという点もADASの作り込みにおいてメリットとなっている。
先日レガシィアウトバックのフルモデルチェンジが発表されたが、これによってスバルのラインアップはBRZを除いて、すべてSGP(スバルグローバルプラットフォーム)になった。
こうしたプラットフォームの統一化は、電子制御の共通化にもつながる。ADASを装備する段階での開発工数を減らすことが期待できるのだ。
そうはいっても、車種ごとの仕上げにかけられる時間も年単位で必要になるが、スバルの場合そもそもの車種が少なく、しかもコンパクトカーはOEMとなっている。アイサイト装着車はCセグメント以上となるため、各モデルでの開発時間を十分に確保でき、それが繊細なACCの制御につながっている。
こうしたプラットフォームの統一や車種の少なさ、そして基本的にステレオカメラによってさまざまな機能を実現しているというアイサイトの特徴は、センサーの少なさも含めてコスト面で効いてくる。
いまやアイサイト・レスのモデルはなくなっているのでアイサイトがいくら相当なのか換算することは難しいが、かつての数字でいえばアイサイトは、ACCとAEBSのいずれもが高機能ありながら10万円相当で実装できるADAS機能だった。
現在は、上級機能として渋滞時のハンズオフを可能とした「アイサイトX」を追加すると30万円以上高くなるが、その中には縦長で大型のインフォメーションディスプレイや、フルデジタルメーターなども含まれている。アイサイトXのADAS機能だけでいえば10万円程度でグレードアップできると考えられる。
これは他社と比べてもコスト面で有利だ。そもそも“公式にハンズオフ運転が可能”なモデルが、レヴォーグでいえば350万円以下から用意されているというのは、ADAS機能のレベルからするとバーゲンプライスといえる。