1000万円超でもGT-Rはバーゲンプライスだ
現在のスカイラインのベースグレードである、3リッターV6ツインターボエンジンを積んだGTの価格は435万3800円なので、GT-Rは倍以上の価格になっている。ただ、昔のGT-Rは後輪駆動のままで、装備はラジオやヒーターさえつかないほどスパルタンだったことを頭に入れておく必要もあるだろう。
それに性能を考えれば、GT-Rはバーゲンプライスだと思う人も多いはず。3.8リッターV6ツインターボエンジンの最高出力は570馬力で、欧州仕様の最高速度は315km/h。加速タイムは現在は非公表のようだが、以前は0-100km/h3秒としていた。
911カレラは385馬力・4.2秒・293km/hなのでお話にならず、GT3でも上まわるのは最高速度だけ。すべてで圧倒するには911ターボにご登場願うことになる。とはいえその価格は2500万円。つまり、GT-Rは半分のプライスで911ターボとほぼ同じ性能が手に入ることになる。
じつはこれ、現行GT-Rのコンセプトでもあった。それを実現するためにエンジンは手作業で組み上げ、凝りに凝ったトランスアクスル4WDシステムを用いつつ、スカイラインやフェアレディZなどと同じラインで生産できるように設計したのだ。
ほかのスポーツカーとは明らかに異なるスタイリングは、スカイライン2000GT-Rからの伝統とも言えるが、この生産体制が生み出したものでもある。
逆にデザインで選ぶなら911のほうが魅力的という声もありそうだし、日本車にはレクサスLCという美形がいることも忘れてはいけない。そして操る楽しさでは、価格が4分の1程度のマツダ・ロードスターに軍配を上げる人も多いはず。
でも、クルマ選びというのはそういうものだと思う。すべてを平均的に作った車種はつまらなくなりがち。一芸に秀でているモデルこそ輝くわけで、パフォーマンスに特化したGT-Rには1000万円以上の価値があると思っている。