他メーカーのライバル車を意識しないセールスマンが増えた
最近のセールスマンは他メーカーライバル車をあまり意識しなくなっている。軽自動車あたりではガチンコで競い合うライバル車が多いので、それでも他メーカーライバル車が意識されるが、国内販売シェアが圧倒的に高いトヨタ系ディーラーは2020年5月より全店舗での全車種扱いがスタートしており、トヨタ系ディーラー内での、同一車種(アルファード同士など)同士の潰し合いが完全にメインとなってしまい、他メーカー車を引き合いに出しても値引きアップ効果はほとんどなくなってきている。
トヨタ車が本命で、かつアルファード、クラウン、カローラなど、2020年5月まではトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の各店舗で専売車種扱いとなっていた車種は旧専売系店舗をメインにオールトヨタで値引き条件を競り合わせること。旧専売店は車両の供給量が他店より多いなど有利な点が多く、売り慣れているのでリセールバリューの動向にも詳しく、値引き条件も拡大しやすくなっているからである。旧専売店は値引きが拡大しやすいのだが、その他の併売店でも、瞬間風速的に値引き条件が急拡大することもあるので、トヨタ系ディーラー同士の競り合いは欠かさないこと。
トヨタ車以外が本命の場合は、とにかくトヨタ系ディーラーの動向を伝えて条件アップを狙おう。とくに下取り査定額では、自社系オークションネットワークが大きいこともあり、トヨタ系ディーラーであっても、トヨタ車以外でも取り扱いディーラーより高値の下取り査定額が出やすく、さらに値引き不足の上乗せが行われる。いまどきはトヨタ以外のディーラーでトヨタ車も検討していることを伝えれば、「トヨタさんではどうなっていますか?」とセールスマンから聞かれることが多い。上司に値引きアップの決裁をもらう時に、「トヨタさんでは……」と伝えるのが効果的とも聞いている。「トヨタではこんな条件が出ている」という説明は、トヨタ以外のメーカーでは値引き上乗せの決裁が出やすいようである。
ディーラーローンでは、残価設定ローンが主流となっており、金利が低めとなっているのだが、トヨタ系は5%弱となり他メーカー系より若干金利が高い。といっても最高で2%ぐらいの差となっている。トヨタ車の多くは中古車として海外へ輸出するバイヤーの動きもあり、リセールバリューが高値傾向で安定することが多い。とくにSUV系は鉄板もの。そのため、一定期間支払ったあとの“採算分岐点”とでもいう時期には、設定される3年や5年後の最終支払い回近辺で下取り査定を行うと、設定残価を上まわる査定額が出ることも多いようで、トヨタ車で残価設定ローンを組んでも完済前に新車へ入れ替えるケースも多く、ローン金利の差などは軽く相殺されてしまうともいえるので、ローンを組む時には安易に金利や残価率に惑わされないこと。
残価率を維持するために、値引き販売を押さえ気味にしているようなブランドも見受けられるからである。
令和の時代の新車購入において、より買い得に買うためにはテクニックというよりは、効率的な商談を心掛け、どこまで情報収集して商談に臨むかのほうが重要といえるだろう。