政府や自動車メーカーはより丁寧な説明を行うべき
こうしたなか、政府は2021年6月に「グリーン成長戦略」を最終的にとりまとめ、そのなかで乗用車については「2035年までに軽自動車を含めて新車100%を電動化」という目標を掲げた。
ここでいう電動化は、マイルドハイブリッド、シリーズハイブリッドなど各種のハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV(電気自動車)、そして燃料電池車を含む。
また、四輪と二輪の国内メーカーでつくる業界団体である日本自動車工業会は、豊田章男会長が定例記者会見で度々「CO2削減には、たんなる電動化のみならず、水素やeフューエル(合成燃料)を使った内燃機関を含めた総括的な研究開発と社会実装が必要だ」と強く訴えている。
さらに、クルマ単体でのCO2排出量のみならず、電気を作るための資源となる天然ガスや原油の採掘、船などによる移動、車両部品の製造や車両の最終組立ての工場、そして新車販売後の二次利用や三次利用など、大きな意味での「クルマの一生」という視点である
LCA(ライフサイクルアセスメント)としてCO2削減の議論が重要だとも言っている。
昨今の電動化の議論は、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)が掲げるグリーンニューディール政策のように、投資を中核とした経済政策という政治的な思惑が強く現れている印象が強く、そうしたトレンドに日本も大きく影響されている。
そうした状況でユーザーが、クルマに対する電動化やCO2削減に関する各種報道を日常的に接するなかで「本当にクルマはそこまでCO2削減が必要なのか?」という疑問を持つことは自然なことだと思う。
CO2削減について、政府、そして自動車メーカーはユーザーに対してより丁寧な説明を継続的に行うべきだと考える。